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モノ言う株主が株式市場を活性化させる

 今月後半は3月期決算企業の株主総会シーズンとなります。
 26日から29日にかけて集中しているものと推察しますので多くの個人投資家の皆様もお手持ちの銘柄の開催スケジュールを見てどこに行ってみようとか考えておられるのかも知れません。

 企業は事業活動を1年間行って、その決算数字を発表して株主に対して報告し、株主総会で株主の承認を得る必要があります。株主は持分に応じて総会議案に反対や賛成の意見を示す権利を持っています。時には株主の方から株主総会で提案をすることもできます。

 大方の株主は、ほとんどが少数株主であるため、株主総会には出ないで送られてきた招集通知に賛成か反対のチェックをして返信するか返信すらしないでいるのかと思います。大半が形式的な株主総会となりがちですが、最近はモノ言う株主も出てきたように思われます。

 土木基礎工事業界の老舗企業とも言える三信建設(1984)の株主である坂本宏充氏は同社株を77万7000株保有する大株主ですが、同社に対して130円配当(現状は20円配当の予定)の実施を要求しています。同社からはそうした大株主の増配要求に対してもっともらしい反対意見を述べていますが、果たしてこの反対意見が通用するのか株主総会が注目されます。

 というのも坂本氏は恐らく他の親族も合わせて27%もの株式を保有していますので株主総会で他の株主の賛成が得られれば会社の反対意見が通用しない可能性もあるからです。

 億の近道の読者でどなたか同社の株主になっておられ方がお見えなら総会に出席されてはいかがでしょうか。

 そうした株主にとっては短期的にはうれしい要求も長期で会社を運営する企業側の役員にとってはやっかいな問題なのかも知れません。
 会社としても2016年3月期までは配当性向を22%としていましたが、2017年3月期は43.7%に引き上げ、前期も44.7%へとこうした株主の存在を意識してか増配で応えようとしています。
 今回の大株主の要求は配当性向290%というもので期間損益を大幅に上回るものですが、この要求が通れば時価526円の配当利回りは24.7%となります。前期のBPS640円が510円になるだけのことではありますので、見た目決して理不尽なことではないとも思えます。ROEの向上にとってもプラスになります。

 企業経営者は投資家、株主の暗黙の要求に業績の向上で応え、時に配当金を増やして対応することになりますが長年保有してきた個人株主(持ち株も増加させてきた)の大幅増配要求は典型的なモノ言う株主の積極姿勢と言えます。

 新社長となったばかりの山崎社長の対応力が問われるとともにこうしたモノ言う株主の存在は他山の石とも言えるキャッシュリッチな企業がたくさん存在している点にも注目したいと思います。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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