迫る日本の時価総額1000兆円時代
海外投資家のための東証の市場改革がスタートして1年半余りとなり、日本の株式市場は海外投資家によって選定される大企業への志向がますます鮮明となって参りました。
来年からスタートする新NISAでこれまで株式投資の経験がなかった国内個人投資家がこの潮流に乗ることでますます誰もが知っている大企業への志向が活発となることは容易に想像がつきます。
新NISA口座が積み上がってきているとの話から株式市場にはリスクマネーが流入してきますので、日経平均やTOPIXといった指数の上昇は勿論のこと、日本の株式市場に上場している企業の時価総額も拡大が予想されます。
現在、プライム市場に上場している銘柄数は1659で時価総額は823兆円、1社平均約5000億円、スタンダード市場には1619銘柄が上場し時価総額は27兆円、1社平均167億円という状態です。更にグロース市場には560銘柄が上場し、その時価総額は6.5兆円、1社平均116億円という状況です。
3市場合計では3838銘柄、時価総額857兆円と言うことになります。
この数字は既に1989年のバブル経済下での時価総額を超えており、中国のバブル経済の一方で停滞してきた日本経済が復活してきた証でもあります。
現在の運用の主流はインデックス型ということで、中小型株などでのアクティブ運用は角に追いやられた状態です。特に海外の機関投資家にとっては無名の小さな企業の株に投資するなど愚の骨頂。なかなか日本のグロース市場やスタンダード市場銘柄に関心が向くことはありません。
結果としては日本を代表するようなグローバル企業に海外投資家のマネーは向かうことになります。何も訳のわからないような事業を営む小規模企業に投資する必要はなく、世界市場を相手にする企業への投資の方が成果を上げやすいということになります。
但し、結果としてその評価は高過ぎることになったりもしますので多少は波乱を生じたりもします。
と言うことで現在1銘柄平均の時価総額5000億円のプライム銘柄の時価総額が10%アップしただけでも時価総額は83兆円の増加が予想されます。
とりわけ、時価総額が1兆円を超えている銘柄が166、更には10兆円超えが9銘柄あります。日本株の時価総額拡大と言う視点ではこうした現状の日本を代表する企業群の評価の高まりが牽引役となることは容易に想像できます。
日本の株式時価総額1000兆円時代をリードしそうな企業を見出すことがこれからの投資では必要かと思われます。中小型銘柄にアクセントを置いて活動している筆者にとっては、残念なことではありますが、現実問題としては致し方ない現在の株式市場の潮流であります。
[参考:時価総額トップ20]
1.トヨタ(7203)41兆円
ダイハツ問題発生で調整局面
経常利益5兆円台の実力から時価総額50兆円規模が狙える。
時価2516円
2.ソニーグループ(6758)16兆円
2期連続の営業利益1.2兆円の実力と絶大なブランド力で評価高める。
時価12985円
3.NTT(9432)15.5兆円
国策通信会社が発祥で最先端の通信技術と半導体技術を保有して新NISA開始前の25分割で関心を高める。営業利益2兆円規模の実力からは時価総額20兆円も有り得る。
時価171.9円
4.キーエンス(6861)15兆円
外国人持株比率47%。営業利益5000億円に対してかなりプレミアムがついた状況ながら浮動株少なく株価の上昇傾向はなおも続く。
時価62020円で個人投資家には買い辛い状態。
5.三菱UFJ(8306)15兆円
国内最大の金融機関グループ。低金利政策の変更で今後の利ざや拡大を睨むことで株高トレンド継続に期待。17兆円から18兆円が時価総額の目標ライン。
時価1216円
6.東京エレクトロン(8035)11.7兆円
代表的半導体関連銘柄。ややプレミアムはついているが人気継続。
7.信越化学(4063)11.7兆円
代表的半導体関連銘柄。EUVマスクブランクス分野など大型投資実行で更なる業績の拡大図り、営業利益は1兆円規模に拡大期待。
8.ファーストR(9983)11.3兆円
営業利益4500億円規模に対してはややプレミアムがついた状態。
9.KDDI(9433)10.2兆円
毎期1兆円の営業利益をコンスタントに稼ぐ企業で現在の評価はそれに見合っている。
10.リクルート(6098)9.9兆円
営業利益3500億円規模に対してはプレミアムがついての評価がなされています。
11.オリエンタルL(4661)9.6兆円
人気のディズニーランド運営会社で営業利益1500億円規模に対して、かなりプレミアムがついております。株主優待などで株価は下支えされています。
12.三菱商事(8058)9.5兆円
今期の税前利益は前期の1.68兆円から1.3兆円へと減益見通し。コングロマリットディスカウントもあり現在の時価総額は妥当なところかも知れないですが、12月末の3分割実施で株価は2000円台となり投資しやすくなる。権利落ち後の展開に注目。
13.日立製作所(6501)9.3兆円
約8200億円であった前期の税前利益は今期7350億円と減益になる見通しながら株価のトレンドは上向きのままで推移し、過去最高水準に位置しています。
14.三井住友FG(8316)9.1兆円
金融政策変更による利ざやの拡大を見込んで株価は堅調推移。今期経常利益見通し1.3兆円から時価総額は13兆円程度までの評価余地がある。
15.伊藤忠(8001)9.1兆円
税前利益1.1兆円を継続的に出せる実力から時価総額は11兆円程度はあっても良い。
16.任天堂(7974)9兆円
ゲーム業界での絶大なブランド力で高い評価がなされています。
経常利益6000億円の計上が安定的に可能ながら時価総額はそれに対してプレミアムがついた評価がされています。
17.中外製薬(4519)8.9兆円
前期の営業利益5300億円から今期は4200億円と減益見通しながら株価は比較的底堅い。
18.ソフトバンクG(9984)8.8兆円
投資ファンドの不振から前前期、前期は赤字に転落したが今期は1兆規模の黒字化を見込む。評価は定まらない状態だが、今後復活に向かう可能性がある。
19.ソフトバンク(9434)8.2兆円
前期の営業利益1兆円から今期は8000億円に後退。現状時価総額はほぼそれに見合った状態。
20.三井物産(8031)7.9兆円
前期の約1.4兆円をピークに税前利益は今期から来期にかけて減少傾向。
バフェット銘柄で株価はまだ比較的底堅い。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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