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未知の市場

 昨年10月初旬に書いた「PBR1倍割れETF」が漸く戻り高値を取ってきました。取引所による開示企業の公表もあり、徐々に「事なかれ主義」「昼行燈」経営の企業が炙り出されてきています。
 並行してアクティビストの活発化や、親子上場への問題意識などが組み合わさることで国内上場企業に変化が出てくる年になりそうです。

 21世紀の日本の株式時価総額は2003年のボトムからサブプライム・バブルの影響を受けて2007年まで上昇したものの、リーマンショック後の2008年10月に300兆円を下回り、その後の4年間は概ね200兆円台後半から300兆円を若干超えた辺りを推移していました。それがアベノミクス開始の年、2012年12月から株式時価総額が上がり始め、2013年に急増しました。この年は前年末の約300兆円から477兆円へと、1年間で約177兆円(約59%)も増えました。

 その後も増減を繰り返しながら増え続け、コロナ禍発生で2020年春に一時的に550兆円ほどに落ち込んだ後、皆さまご存じの通り、同年秋頃から上昇を始めました。昨年(2023年)6月からは800兆円を超えた水準が続き、先月末は約895兆円でした。

 2012年までの低迷期から既に3倍になりましたが、10年ちょっとの間で隔世の感があります。異次元の金融緩和と円安に加えて日本株の見直しもあり、主要国での大胆な金融緩和による余剰資金も流れ込んできているようです。日銀の巨額なETF保有によっても株価が上がり易くなっているのでしょう。

 昨年後半からは大きく買われた様々な理由を見聞きしますが、欧米からの資金や中国から移っている資金の大きさを感じます。そして先回の題にもしましたが、世界中のアクティビストが注目する市場にもなりつつあると考えています。

 1989年末のバブル期を超え、時価総額が900兆円を窺う未知の領域に入りつつあります。今年は(実際は投資指標としては馴染まない)日経平均株価が幾らになるかを気にして一喜一憂すること無く、個別銘柄の研究がより重要になる年と考えています。

 相場自体は幾ら強そうに見えても下げる時は激しいです。指数の上下動は気にせず、長い目で今後の日本市場の行方を考えたいところです。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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