OKR設定セッション実施レポート
クライアント企業の皆様から「OKR設定セッションでは何をすべきか/セレクションアンドバリエーションに依頼した場合どのような進め方をするのか?」というお問い合わせを頂くことがよくあります。今回は当社内でOKR設定セッションを実施した際の流れや雰囲気などをご紹介します。
メンバーと状況
クライアント企業は組織・人事コンサルティングを行なっています。今回のセッションは6名(リーダー/社長及びメンバー5名)にファシリテーターでした。コロナ禍で出社/在宅の選択を自由としていますので、zoomを使用したwebMeetingで行ないました。
概要及び進め方
人事制度コンサルティングを行なう企業(当社)ではありますが、自社にOKRを導入するのは全く初の試みでした。そのため、メンバーの殆どはOKRについての知識はあるものの、進め方の合意から進めて参りました。冒頭で以下の通り進めるということをファシリテーターからお話しました。
1.本日の進め方の共有
2.OKRの進め方概要の説明(5分程度)
3.Objectの設定
リーダーによるObjectの叩き台発表と説明
叩き台における言葉の定義やObjectの意義の確認
リーダー/メンバーによるObjectの討議の実施
Objectの最終化
4.KRの設定
Objectを元にしたKRの方向性検討
KRの値を設定
OKRの進め方概要説明(5分程度)
OKR設定ミーティングより前の段階で、導入時説明会や考課者研修といった方法でOKRの意義や進め方についての基本的なルールの落とし込みをすることが殆どです。そうでなければOKR独自の進め方やMBOとの違いなどについて現場の知識が不足していることが殆どだからです。しかし、ただ説明を聞いていても、実行する段になるとメンバーの理解が異なっており混乱する…ということが頻発します。
そのため、当社でのOKR設定ミーティング支援では最初に5分ほど時間を取りOKRの意義と進め方の共有を行なっています。内容はごく基本的なもので下図のようなものを使用します。
しかし、企業によっては「当社が何故OKRを導入するに至ったか」「自社を取り巻く経営環境」等についても追加して欲しいとオーダーを頂くことがございます。
Objectの設定
OKRの原則ではObjectはチームでイチから作り上げていくのが良いとされます。そのため以下の様な流れになることが多いです。
しかし今回は期中でのOKR導入のため、既に設定された目標があるということと、初回でありOKRに関する実感を持てていないのではないかということが懸念されました。そのため、リーダーがObjectの叩き台を設定し発表・メンバーからの質問を踏まえ討議を実施し最終化するという流れを採用しました。
KRの設定
Object設定後、数分間の休憩を踏まえObject達成を測定するための指標であるKey Resultsの設定セッションに移行しました。KRの一番の肝は難易度設定にあります。達成可能性が50%程度となるような難しい目標(ただし実現不可能ではない)を設定することが成果最大化に繋がるからです。ファシリテーターは過去の業績や経営環境や自社経営資源などを踏まえて意見することはありますが、あくまでもリーダー/メンバーが合意した上で決定することが第一となります。
今回の事例では、Objectの項で出た「人と組織の成長を当たり前にする」「クライアントに対してだけでなく、自組織でもそれを体現する」といった内容と過去の自身の経験などを踏まえて以下の様な議論が成されました。
・仕事を通じた成長のためには、常に数件のプロジェクトに関わって居る状態を作るべきと思うが、どの程度が妥当か?
→過去○件PJが同時進行したときは非常に厳しかった。たまにならよいが常にそれが続くと振り返りを通して学びを得ることが難しくなる。
→逆に△件しか関われていないと、教訓を活かす場が少なくなってしまう。
・仮に□件のプロジェクトが常にある状態が理想的だとした場合、リードは何件ぐらい必要となるか
・率をKRとして設定した場合、成果に繋がらなさそうな仕事を避けてしまう。
全体を通して
意見がOKRに反映されるということで非常に和やかな雰囲気で活発な議論が行なわれました。
OKRを設定することが目的のセッションですが、自社の存在意義やPMF(Product Market Fit=自社サービスが市場に受け容れられるか)といった大所への拡散を経由したことで各人が自社で働く目的を見直したり、これから何をしたいかを考えたりする機会になったという声が聞かれました。
また、KR設定の段階で数値目標に詰まってしまった際は考えられる施策を出してから検討する等、正攻法以外の方法も試すなど様々な手法でKR案を出し合いました。
さいごに
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セレクションアンドバリエーションシニアコンサルタント・中小企業診断士
山本遼