見出し画像

企業ステージ別 リーダー不足の現状と解決策

組織・人事制度に関するコンサルティングを行なっていると、自社にリーダーが不足しているという声をよく聞きます。企業のステージ毎にまとめるとこんな感じです。

企業ステージ別 リーダー不足の現状

 成長を目指すスタートアップにおける組織の最初の課題はリーダーの不足だったりします。創業メンバーは目的意識とやる気に満ちあふれていますし、創業者一人のパワーによって行ったれ行ったれ的な雰囲気と推進力を出すことが可能です。しかし、十人を超えた当たりから目が届かなくなってきたり、モチベーション量やモチベーションパターン(仕事の何を楽しいと思うか)等が多様になってきます。そうなってくると、それまでの勢いでのマネジメントは難しくなります。せっかく市場に受け容れられつつあったプロダクトがあるのにリーダー不足でスケールが出来なくなってくるわけです。


 中堅・中小企業にとっては、後継者不足が課題であることが多いようです。コロナ前は好景気が続いていたため、資金繰りが悪くなって倒産する、という例は実はあまり多くありませんでした。多かったのは、経営者の高齢化です。経営者は高齢化しているのだけれども、社内でリーダー(次期社長)を育ててこなかったため、トップの引退がすなわち会社の終わりも意味してしまっていました。


 大企業にとってもリーダー不足は無関係ではありません。確かにスタートアップや中堅企業に比べると管理職の数は多く居ますし、替りになるような方も数の上では居るかもしれません。しかし、それは業績管理や業務の管理などマネジメントが出来る人材が多く居るというだけの企業が多いのも事実です。既存事業を既存のやり方で進められるマネージャーは多くても、新しい事業に挑戦したり、事業全体を俯瞰して把握した上で方向性を決められるようなリーダーが少ないわけです。(皆さんの企業でも、役職定年を超えているのに後継者不足を理由にポジションに居続ける上席者は居ませんか?)

 
リーダー確保の為の3つの戦略

 全ての企業に共通するのは「若者のリーダー忌避傾向」ですね。最近の若者は経営層や管理職を避ける傾向が見られる…というのは様々な調査が示すとおりです。市場にリーダーが不足しているがこちらとしてはリーダーを確保したい。そんなときに我々が取れるのは主に以下3つです

①リーダーを採用出来るだけの給与を用意する
②社内でリーダーを育てる
③少ないリーダーで企業を回す 

 ①の札束ビンタでリーダーを集めるという作戦は簡単そうですが難しいですよね。そもそもそんなに資金に余裕がある企業は多くないし、自社リーダーの平均給与が600万だったとして、社外のリーダー候補が800万要求してきた場合に「じゃあ払っちゃえば良いじゃん」と言うのは人事の素人意見です。多くの方は「だったら既存の自社リーダー”達”の給与も上げないとヤバいだろうな」ということに思い至るでしょう。そうすると、リーダー一人採用するのに掛かるコストは200万円ではなく、2000万円とか3000万円とかの金額になります。これは流石に厳しい。
 そうなると、やはり②自社でリーダーを育てるか③少ないリーダーで回せる体制を作るか・・・が基本戦略となります。リーダーを育てるための方法というと、リーダー育成研修などがあります。当社でも手掛けていますし非常に有効な施策です。 しかし、研修を受けた“だけ”を以てその人がリーダーに相応しいと判断するのは厳しいと思います。そこで、実践の場でリーダーを育成することが欠かせません。そしてそのためのうってつけの方法がOKRなのです。

OKRでリーダーが育成出来る理由

OKRの基本ルールはこんな感じです。

OKRの基本ルール

 OKRでは「四半期に取り組むべき最も重要な定性目標をチームで設定」します。上司が一人で目標を決めてしまうようなトップダウンではありません。チームで目標を設定するため、チームのメンバーは自分たちの組織が顧客(や次工程など)から何を求められているのかを理解する必要があります。自分たちの組織は何のために存在しているのか、何をすべきかを突き詰めて理解する必要があるわけです。ここでのポイントは自分が何をするべきかではないという点です。主語がIからWeに変わるわけです。これはリーダー育成において欠かせない視点の転換です。また、最重要目標を決定するプロセスを通じて「優先順位付け」を実践できます。そしてそれが年に4回も実践できるのです。


 次にOKRでは「測定出来る指標を設定することで実効性を高める」というルールがあります。これにより、定性的な目標を深掘りして考えるクセが付きます。「顧客ニーズを満たしている状態ってどんな状態?」といった問い掛けを行なうわけです。リーダーが不足していると嘆く企業の多くで見られるのがスグに思考停止してしまうというものが挙げられます。顧客ニーズを満たすとか、よりよくするとか、個人個人が自覚を持って頑張る…などのような使い勝手の良い言葉に出会うと思考を止めてしまうわけです。これらの言葉は非常に耳障りが良いですが、物事を前に進めることはありません。顧客ニーズを満たすのが新規顧客獲得を指すのか、既存顧客のリピートを増やすのかでも大きく違うのに、前段階で止めてしまうんですね。しかしOKRはそれを許しません。定性目標を測定可能な指標まで深掘りすることを求めます。


 またOKRでは「達成可能性半々ぐらいの高い難易度の目標を設定することで成果を最大化する」というルールもあります。高すぎる目標でも、簡単すぎる目標でもなく、半々ぐらいの難易度にするという制約によって、更に考えは深まります。まず自分たちの経営資源を把握しなければなりません。組織の自己分析をした上で、経営環境にも目を向けたり、社外の先進的な取組やあるべき状態なども考える必要が出るでしょう。そうすることによって、視点の引き上げや情報感度の向上が自然と出来るようになります。

OKRがリーダー育成に有効な理由をまとめると…

・目標設定のために自分たち組織の存在意義を考える
・最重要目標に限定することで優先順位付けを実践できる
・思考停止に逃げず深掘りして考える
・定性目標を測定可能な指標まで深掘りするようになる
・高い難易度の目標設定を通して、自組織の経営資源を把握する
・経営環境を理解する
・先進事例やあるべき状態を考えるクセが付く

このように、OKRはリーダー育成のためにも使えるのです。

さいごに

OKRについてもっと知りたいという方はこちら

当社はOKR導⼊検討から導⼊後の運⽤⽀援までワンストップで⽀援するコンサルティングサービスを提供しています。「自社にOKRを入れた方が良いか?」「OKRを入れてみたが上手く行かない。何を改善すれば良いか?」等、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

画像2

弊社サービスパンフレットはこちら

note|仕事依頼

*お問い合わせ内容は「サービスについて」とし、要件のどこかに「OKR」の三文字を含めて頂くとスムーズです

セレクションアンドバリエーションシニアコンサルタント・中小企業診断士
山本遼