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70冊目【本のはなし】眠ることは最大の美学!?/朝活43日目


「二度寝しちゃおうかな?」


誘惑の言葉だ。43日目の朝活、目覚ましを止めながら毎日思う。誰にとがめられることもない。


もちろん、仕事に遅刻をすれば、減給になってしまうのは困るので起きるけど。朝活だからいつもよりも余裕の4時30分起床。通常の1時間は眠れる。


私はもともと、夜型人間だった。朝日をあまり拝まずに昼頃から活動する。これは休日のルーティン。昼に起きてご飯を食べて、約束があれば出かけて、なければダラダラ過ごす。眠気がやってくればまた眠る。そして真夜中のラジオを聴く。

そんな生活サイクルに変化が訪れた。


25歳、私は風邪をひいた。熱はなく、ただ咳が出ているだけだった。20年くらい前の話だから会社へ行った。


仕事中に出る咳を聞き、上司がひたすらに「咳が深い、深い」と言ってくる。聞き返すと「肺からの咳っぽいから病院に行った方がいい」とのこと。


ありがたく「病院に行った方がいい」というアドバイスを受けとる、こともなく退社後は、最寄駅の寂れた駅ビルにウィンドウショッピングをすべく向かった。

向かう道中、若い女性だったか、その当時の私よりも年上の女性だったかに声をかけられた。普段なら絶対に応対しないだろう人たちに耳を傾けてしまった。


何かがおかしいぞ?


季節が、寒かったのか、暑かったのか、記憶が定かではないけれど、私の体は寒さを訴えはじめた。30分程度の立ち話。人が増えた、何かをもらった。話が終わったようだったので、直感的に駅ビル徘徊をやめて、帰路につくべく駅のホームへと向かう。

体が揺れる。ここで、はじめて「マズイ気がする!」と危険信号を放つ。ホームから転落をしないよう、ホーム中央の人が並ぶ後方へ移る。


とにかく何事もなく家に帰りたい。咳をするたびに胸の辺りにチクリとした痛み。すぐさま自宅近くのクリニックの診察時間を携帯で調べると、間に合いそうだった。


多少混雑した車内、座りたいが誰も席を立たない。都心からベッドタウンが点在するこの路線は、疲れ顔の戦士たちが乗っている。恨めしそうに彼らを眺めつつ吊り革へ全体重を乗せる。祈りを込める。「早く着けー」と。


ようやく自宅の最寄駅。駅から20分トボトボ歩く。砂漠の中を歩いてるような気分、でも砂漠なんて行ったことないからイメージ。

誰か心優しい人が私をクリニックまで乗せてくれないかな?と願うものの誰一人、車一台通らず。

夕飯のいい香りが、家々から立ち込めるが今日は無性にムカムカする。夕焼けがやたらに綺麗だったけど、腹立たしい。ようやくクリニックの光が見えてきた。


ようよう自動ドアを開き保険証を出す。はじめてかかるクリニックだったっけ?忘れてしまった。あまり病院にお世話にならないからどうしていいかわからない。とにかく待合室のソファに座った。


はじめてだったらしい。問診票を書かされる。いいからもう、先生に会わせてくれという元気さえもなく、震える手で書き始める。

ようやく「尋常じゃない」という思いが湧き出てくる。患者さんは誰もいなかったので問診票を書き終えたらすぐに診察室へ通された。


1分もしないうちに「肺炎です、入院です」とのこと。私は断った。次の日に楽しみにしていたイベントがあったから。医師には、断ってもダメだよと言われたが私の意思は固かった。


愚かな若者に医師はこう言った。「明日熱が下がらなかったら、また明日ここにおいで。」熱なんて下がるわけもない。


次の日、母と連れ立ってクリニックに向かった。ちなみに私は結婚するまで実家暮らしをしている。都内まで電車で1時間弱。なので一人暮らしをするメリットが見つからなかった、というカッコつけの理由だけ置いておくが、これはまた今度書くとしよう。

医師からの言葉は「熱下がらなかったでしょー」だ。怒られなくてよかった。けど、熱やら何やらで判断力が著しく低下していたんだとこの医師には、思っていて欲しい。

入院できる施設を案内されて、速攻入院、会社へ連絡からの退院許可が出るまで私はベッドに横になることだけの日々をここで、約ひと月過ごすこととなる。


入院初日には、熱が下がり、楽になった体でやることと言ったら…だいたい眠ることだ。

食べて、寝ろ!あとはこっちがなんとかする!と頼もしい言葉をいただき、医師の指示通り、堕落し切った生活を送った。


赤子並みの睡眠時間、起きれば、程よい塩加減なのに、街で評判の定食屋さんのような和御膳を完食。母から差し入れのお菓子たちも頬張る。

退院後、私が獲得したのは、脂肪と膨大な睡眠時間。その日以来だったろうか、なるべく睡眠したい体へと変貌を遂げた。

徐々に減る夜遊び。子どもができた頃からここ10年以上は、日を跨ぐことなど大晦日くらい。朝活を始めた今は、10時前には布団でぬくぬくし、絵本を読み、眠りにつくという平和な時間がやってきている。


最近、家族から「ごきげんさん」と言われるが、朝活効果ももちろんだが、よく眠っているからでもある。眠ることは最大の美学。

こんなにも愛してやまない、究極の癒し時間を知りたくなった私は、この本を開いたのだ。

ど文系の私にとって、ちょっとどころの騒ぎじゃない奇怪な言葉が散りばめられているけれど…しかし、睡眠はこの地球上の生物全てが、命懸けで眠ることを選択してるほど、なくてはならない時間だということを知った。


また、記憶の定着には、睡眠がかかせないという。そういえば、我が子が支援センターなどで月齢が上だったり、年上の子と遊んだあとはよく眠った。それを私たちは「刺激が強すぎたんだね」と言っていた。


ただ、驚くべきはその2,3日後に急成長を遂げる。つかまり立ちも、立ち、歩いた時も、確かその前に年上の子たちと遊んだのだった。

 

実体験を交えて考え、読むと実に面白い!奇怪な言葉はかわいいキャラクターのようになった。シナプスちゃんがお気に入りである。


しかし睡眠は、まだ解明されていないことが多いそうだ。著者の仮説を読み、世界の睡眠学を研究する権威たちが、私が眠っている時間も研究し続けているそうだ。


眠ることは最大の美学で科学。
そして、生命維持として絶対不可欠。


大人だって刺激がある日は、「どっと疲れたわ〜」なんて言葉がついつい口から出てしまうででしょう?それって、脳みそからそろそろ休みませんか、という誘い文句かもしれない。


さあ、刺激を求めて、この本を読んでみよう!
頃合いになれば、脳みそから誘ってくる…かもしれない。

睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか (ブルーバックス)

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