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書活259日目*沖縄慰霊の日

今日が何の日かご存知ですか?

79年前、旧日本軍の組織的戦闘が終わったとされるこの日を沖縄では「慰霊の日」として定められてるそうです。

正直な話を言いますと、私はよく知りませんでした。

沖縄戦があったこと、民間人を巻き込んだこと、たった数ヶ月で数多くの命が奪われた事、沖縄の方が本土の人間をどう思っているのかということ。

それらは、沖縄を舞台にしたお芝居や漫画、テレビドラマで知ることとなりますが、学校の授業ではあまり取り上げていない印象があります。

さて、私には沖縄に二人のいとこがいるようなのです。様々な事情があるようで、詳しい話は聞いたことがありません。私が知る必要もないと判断だったのでしょう。

一度だけ母が、
「あの子が嫁いだ時には、パスポートが必要だった」と言った記憶があります。テレビで沖縄の慰霊の日のニュースをやっていた時だと記憶しています。

涙ぐんでいたためそれ以上は聞けませんでしたが、パスポートが必要だったという言葉の違和感だけが残りました。

それから数年後、卒業旅行で選んだのが沖縄でした。沖縄の観光タクシーで様々なところに連れて行ってくださいました。

観光コースにひめゆりの塔も入れてくださってました。

「あなたたち若い人にこそちゃんと見てほしいのよ。」

運転手さんは、沖縄の言葉で優しく話しかけてくれていましたが、この時の言葉だけは何とも言えない重さに変わりました。

私は、受け止められない。私はちゃんとひめゆりの塔を見つめることが出来なかったんです。同行した友人たちも、同じだったのでしょうか。少しの間話せなくなってしまいました。

何を思ったのか、どう感じたのか。話さなかったこと、ちゃんと見られなかったこと、今もなお後悔が残る一つです。

ところで、学校の歴史の授業の課題で、家の人に戦争の話を聞こうというものが出ました。その時母方の祖母に話を聞きに行きました。(当時、存命だったのが母方の祖母のみでした。)

祖母は、戦争の辛い体験を後世に残すべきではないと考える人でした。

なので聞いたのは日常の出来事です。なんて事のない、小学校低学年の女の子を筆頭に3人?4人?の子どもを持つ若い祖母の知らない土地で過ごした話だけでした。

そこに「戦争」の言葉はあまり感じず、唯一「おやつがなくて、おいも飽きた〜ってワガママ言われて困っちゃった」というだけ。

私の習った戦争とあまりにも違い過ぎて、白黒写真の、教科書の中の出来事から抜け出せずにいたのです。

しかし昨年だったでしょうか、「この広い世界の片隅で」というアニメを見て初めて、日常が変わるその恐ろしさを知りました。

さっきまで日常だったものが、今はもう戦禍にあること。隣にいる家族と瞬きした瞬間に引き離される事。たった一つの、その攻撃で日常が日常でなくなる恐怖。

迫る敵軍と言われる人々、来ると言われた本土の人間。どんな気持ちだったかなんて想像を絶します。

私に何ができるのか?
ただ、未来のために「日常」を守りたい。そのためにできる事、あの観光タクシーの運転手さんの言葉。

「ちゃんと見てほしい」

私にできること、それを伝えることなのかもしれません。

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