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色褪せてしまうもの

4月の半ばを過ぎても、まだうす寒い。
桜の花が未練がましく残っていて、薄曇りの空のグレーに淡いピンクが吸い込まれてしまっている。
心をときめかせることのない春は、もはや春ではない。いつまで待ったら、良いのだろうか。

すべてのスポーツが消えてしまった。
感情をむき出しにできるすべを失った私たちは、理性と言う仮面をかぶったまま佇むしかない。
スポーツのない世界は、勝者と敗者を生まない。何処に感情をぶつけたら、良いのだろうか。

読みたい本がなくなってしまった。
読まずに山積みにしている本が、時代遅れで色褪せた価値のないものになるような気がする。
読んだ本から得た知識が、役に立たなくなるかもしれない。何を読んだら良いのだろうか。

何を書いたら良いのか、分からなくなってしまった。
今、境界線のど真ん中に立っている。しかも大地が大きく揺れ動いている。視点が定まらないのだ。
狙いの定まらない文章は、感動を生まない。何処を見据えて書いたら良いのだろうか。

自分は、何処に行こうとしているのだろうか。
どんな困難にも立ち向かっていこうとする自分がいる。本当に、これからの未知の世界に向かって、自分が自分であり続けることが出来るのだろうか。
本当のことは分からない。
私は、まだ本当の自分を知らない。
新しい旅路を行く、未来の自分を私は知らない。

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