短篇『光り輝く大切なもの』
「どうしても出来ないのやったら、せんでもかまへん。その代わり、この会社はもう終わりや。80年続いたけれども、今年限りで終わりや」
取締役常務の喜久枝さんは、うつむいて黙ったまま聞いておられます。
普段温厚な南方社長が、珍しく声を荒げて喜久枝さんに話をされているのです。
いつもは温厚な社長のこんな怒った顔は初めて見ました。
「何でこの会社が、80年続いたか分かるか。それは、時代によって変化してきたからや。その時代によって対応してきたから、今日まで生き延びてこられたのや。