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大河内健志短編集

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#純文学

連作短編小説「雪ふる京のうつろい」『白木の棺』

帰りが遅そうなるというてはりましたが、主人はまだ帰ってきはりません。 夕方から、雲行きが…

大河内健志
3か月前
8

短編小説『流氷の鳴き声』

彼女がさっき言った「自由」、どういうことなのだろう。 確かに、彼女は札幌に出てきて「自由…

31

私の生き様(小説『仮面の告白 第二章』より)

私は、皆があっと驚くような馬鹿げたことしてみたかっただけなのだ。 世間が、どんなに頭をひ…

6

嵐のあとに(小説『天国へ届け、この歌を』より)

心地よい寝息が聞こえる。 このまま余韻に浸りたい。 眠っている美月に降り注ぐ月の光を眺め…

17

月夜に吠える狼(『 龍馬が月夜に跳んだ』より )

あたりが薄墨を塗り重ねるように暗くなってくる。色の境がくっきりとしてきた。黒はより深みを…

2

宮本武蔵、参上!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

「ようやく、宮本武蔵様が参られたようです」  付き人の声でやっと我に返った。今までに生き…

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どうか助けてください! (小説『夕暮れ前のメヌエット』より)

クラブハウスのある方へ顎で示した。 若社長は、悪戯を親に叱られた子供のように急いで、逃げるように駈け出した。 沈黙が走る。 広い空間の中に私と田中の抜け殻がある。 強烈な孤独を味わう。 落ち着かなければ、冷静にならなければと思えば思う程、体が震え、金縛りにあったように硬直する。 高校時代のいつもの小津さんの横顔が浮かんだ。 突然、こちらに今までに見たことのないような形相でこちらを睨み、「人殺し」と叫ぶ。 寺町御池通の青信号が点滅して、赤信号に替わろうとした時に

輪廻転生(『仮面の告白 第二章 』より)

「エイ!」 森田必勝君の気合と共に、 「ゴツン」 頭をバッドで思いっきり殴られたような…

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「もう大人に騙されるな!」

若者に告ぐ! 「もう大人に騙されるな!」 私は、この世に再び現れて驚いた。わが目を疑った…

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『スカイフック』第11話 知ってはいけない秘密

名古屋市御器所町の村雲小学校の北側の竹藪の中にある湯浅源一郎邸のちょうど真上に落ちた敵の…

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