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死んでいるかもしれない友達


中学生の頃から唯一連絡を取っている友達は1人だけ。Pちゃんとでもしておく。

Pちゃんとの連絡の取り方は少し変わっていて、突然何の前触れもなく大量のメッセージが送られてくる。もしくはスタンプ。内容は特別なことでなく、相手の名前を呼び、何をしているかを聞くのみ。いたってシンプルだ。お互いやっていることに行き詰まりを感じたら、始まるメッセージである。

長い大量のメッセージだと打つのに面倒くさいので、ある時から長電話が採用された。昼頃から始まり、長い時は寝る前まで。約12時間くらい。その間、私たちは何をするか。

ただ、黙々と作業する。自室で。

Pちゃんは絵を描いている。専攻が油絵とか言っていた。部屋の中の様子を写真で送ってもらったことがある。美大生という感じだったが、Pちゃんは美術の大学だったかは定かではない。流れで見せてもらった絵もとても上手くて、私が撮った写真を描いてもらったこともある。


そして私は今、Pちゃんが何をしているのか知らない。元気に卒業制作をしているのか、就活に倒れているのか、同じ地元に帰省していたのか。何も分からない。分からないまま、とりあえず半年過ぎた。

月に1度生存確認のために連絡してみたが、返事はない。既読もつかない。勝手に私たちは似ているようだと思っていたから、何かに没頭していると周りを遮断するのは頷けるところだった。没頭している状態ならいいのだが。

Pちゃんはオタク気質なところがある。というかオタクだ。私にもよくアイドルのキャラクターが出てくるゲームを勧めてきた。私は興味が湧かなかったので、盛り上がっているPちゃんをそばで眺めて楽しんでいた。もしかしたら、そっちに没頭していて現実逃避中なのかもしれない。それでもいい。

私は今、100%ではないけれど55%くらい、、60%くらいPちゃんを心配している。帰省して会うのもPちゃんだけだし、毎日連絡をしなくてもこんな関係が築けるのがPちゃんしかいないからだ。ほっといても大丈夫だとお互い思える関係性は、そんなに築けないし出会えない。本当に唯一のもの。

だからといって何が言いたいとかは残念ながらない。

もしPちゃんが現実に戻ってきたら、半年間のことを根掘り葉掘り聞いてみたい。

生きていると勝手に思っている私より。

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