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香道具ファンドNo.1 「神代欅五点揃」

※このnoteは、麻布 香雅堂が運営する「香道具ファンド」の関連商品を紹介しています。香道具ファンドについて、詳しくは以下noteを恐れ入りますがご覧ください。『絶滅危惧種としての香道具』https://note.com/okopeople/n/nbb7b6aab65ef
香道具ファンドの対象商品は、毎月【第一土曜日】頃に、弊社オンラインショップKOGADO STORE内の「https://kogado.stores.jp/?category_id=5f6ed4934b083918d309d054」にて公開(その10日後に販売)します。少しずつ種類を増やしていきますので、どうぞお楽しみに!

「五点揃」とは、組香の眞手前(しんのてまえ)に必要な五種類の道具一式=乱箱・重香合・手記録盆・本香盤・試香盤=を指します(香道具用語ではありません)。

御家元や御宗家にお話を伺うと、「このような形の道具だから何流用だと決めつけるのは、必ずしも正しいとは言えない」というような意味合いのことを仰いますが、これら五点揃は、一般的には御家流香道に用いられる道具として認識されています。
(それぞれの役割や用い方については省略させていただきます)

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本品の特長を簡潔にまとめると、「稀少な素材と卓越した製作技術とが織り成した稀有な優品」と表現できます。以下に、補足しておきます。

神代欅

「神代(じんだい、かみよ)」とは「神が治めていた時代」を意味します。
そして神代欅とは「神代の昔から土に埋もれていた欅」で、新しくても1000年前、古くは2500年~2600年前に育っていたものが火山の噴火や地殻変動などの影響で埋もれ木となり、近年になって偶然に掘り出されたものを指します。

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欅以外にも杉、檜、楡(ニレ)等が見つかるようですが何れも大量ではなく、また状態が良くて木目も綺麗な埋もれ木は極めて珍しく、貴重品と言えます。

埋もれていた土の成分や水分量の影響か、神代欅は人為的な加工では為し得ない、独特な灰色がかった色で私たちを魅了し、指物の素材としても珍重されます。

ただ埋もれ木は通常の銘木より水分を多く含んでいることが多く、指物に用いるには何十年も寝かせて乾燥させる必要があるそうです。

製作技術

芸道が成立し継続する上で、道具を製作する職人さん達は欠かせない存在です。例えば茶道では十種類の職先が千家によって指定され、いわゆる「千家十職」として次の通り現在まで世襲的に継承されています(指物師は空席中)。

本品の場合、欠かせない職先は指物師と貝の彫師です。指物師は、素材である樹木を心底から愛して良く識ることを要求される職先です。本品を製作した職人さんが何処の誰であったか記録は残されていませんが、とても腕の良い名人であったことは作品の細部に表れています。

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反り易く繊細な神代欅の木地を見事にあしらい、極めて薄く瀟洒に仕上げています。殊に乱箱の縁を蛤刃(はまぐりば)と呼ばれる丸みを帯びた曲線に仕上げる技術の高さには、驚かされます。刃の先端が、手が切れることはありませんが鋭く、美しいのです。

技術の高さが最も表れているのは、重香合でしょうか。正方形の重箱は「箱にはじまり筥に終わる」と言われるように指物の基本であり究極でもあるのですが、本品は身と蓋とが隙間なく合わさる「印籠造(いんろうづくり)」別名「薬籠造(やろうづくり)」と称される構造です。

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蓋は微妙な甲盛りで、全体的に実に神経が行き届いた精緻な仕上がりを見せていますが、それでいて押しつけがましい感じは皆無で、楚々としてさり気ない印象を与えています。極めて高度な技術を誇る名人の職人さんがごく当たり前に腕を振るって淡々と製作した、そんなことを感じさせる優品です。

他にも特筆すべきことがあります。美しい木目が、見事に揃えられていることです。

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素材に恵まれたことが最大の要因でしょうけれど、これほどまでに綺麗に木目を揃えることは容易ではないと感嘆します。もはや道具としての実用性を超えて極めて趣味の良い美を追求しているように思え、作り手の人柄に思いを馳せる次第です。

黒蝶貝菊座

趣味の良さを感じさせるもう一つの要因が、菊座です。通常は白蝶貝を彫りますが、恐らくコントラストの強さを嫌ったものか、本品では黒蝶貝を選んでいます。

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その甲斐あって、微妙に灰色みを帯びた神代欅の落ち着いた色目に対して、黒い縁から中心に向かって徐々に白く光る黒蝶貝の菊座が美しく映えます。
(この菊座を彫れる職人さんは十数年前に引退され、後継者はおられません。)

香雅堂 会長 山田眞裕

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