性犯罪神話の終着点 補講 震災時における性犯罪の噂は、なぜ扱いがおかしくなるのか?

今年の初めから能登半島沖で大きな地震があり、いまだに復旧作業もままならないほど大きな被害が出ている。

こういったときにはパニックになっていることや、情報が錯綜していることから間違った情報が拡散され、それによる悪影響も懸念されるわけなのだが、最初に提示したように性犯罪についてはまるでそんなものはないかのごとく、ツイッターで拡散されるに至った。

さらに言えば、女性だけ守ろうという言説や男性に対するヘイトも垂れ流されており、それが数多くのインプレッション及び評価を受けている。

こんなことは別の犯罪や属性に行えばどうなるかくらいわかるだろう。

ただ、私からすれば既に予測できていたことなのだが、今回の件を改めて振り返ると、この威力こそが恐ろしいというのが再確認できた。

何度か出しているが、下記のnoteがその答えである。

他の犯罪ならデマについても注意喚起は普通に行われ、実際にいくらかデマが出ているという現実もあり、事実訂正されている。

しかし、性犯罪については同じようなことをしないばかりか、NHKなどですら過去にデマとして調査されたものですからも、まるでなかったかのように報道したのだ。  (過去のデマに関してはこちら)

本当にデマというものに対して対策するのなら、上記のことも念頭に置かねばならないのだが、渦中にいた人たちのほとんどは疑念にも思わないほど自然に性犯罪に対する情報を提供していただろう。

しかし、こうなってしまうのも少し理屈を考えれば特に不自然なことはない。

自然な感じで自然に間違いや違和感を受け入れてしまっているので、言葉ではっきり言わないとそもそも分かることすらないだけなのだ。


1 相性が悪すぎる性犯罪論とデマ防止の理屈

性犯罪においてだけは、デマというのはおかしいものであり、事実確認が不完全でもまるで現実のものとして語られているのは、端的に率句の上でデマを防止しなくてはならないとする理論とあまりに相性が悪すぎるのだ。

(1)セカンドレイプ論は拡散防止の大きな阻害要因

性犯罪関連のデマに関して阻害要因になっているのは、端的にセカンドレイプ論が大きいからだ。

セカンドレイプ論はご存じの通り、性被害者に対して心ない言葉を投げること、原因についてが被害者自身にもあったという発言などにより、精神的な苦痛を与えることを防止することを本質にしています。

ただ、この言葉が拡張するにつれて、事件に何らかの疑問を持つことまで阻害されている原因になっていることは下記にも述べた。

このことが、デマというものを防ぐことを考えた際、「情報を疑ってはいけない」に変換されてしまうのである。

デマは疑わしい情報を流すことそのものを防がなければならないという前提があるのだが、疑うことをするなになるとデマだという声が潰されてしまうのだ。

本来検証をしないといけないわけだし、それが無理なら黙ってほしいが、性犯罪に対する告発を妨害する悪質な言論になるので、双方成り立たない状態になりやすい。

そして、性犯罪を主張する側が勝ってしまうので、問題がより大きくなってしまうのだ。

(2)被害者は本当のことを言っているというバイアス

セカンドレイプ論の延長線上にもあるが、ここにもう一つ「被害者の証言は疑ってはいけない」というバイアスが加わることで、よりデマ検証の阻害になっている。

被害者が勇気をもっていっているのだから間違いない。

というのは、痴漢冤罪事件にもよくあることであり、近年でも草津における性犯罪事件のでっち上げにおいても、同じような動きをしたものがいたからこそ、今日までその余波を受けている。

過去の冤罪事件を把握しているのなら、本件でもそのバイアスを一度取り払う必要があっただろう。だが、そんなことを情報を流した者たちは少しでも考えただろうか?

本来ならどんなデマであっても批判されるべきなのだが、性犯罪において許されているかのようなことをしているのは、これらが理由である。

2 情報拡散を認めた後の特別扱いも性犯罪神話の産物である

すでに何度も記述したのだが、性犯罪の情報を拡張した結果は差別扇動の横行や分離措置を要求・実現するという唾棄すべきものである。

差別扇動といったものは論外であるし、マジョリティーだからとか言う愚論はデマの性質・弊害が属性が変わることで変化するわけではないこと、平等の意味を辞書から調べなおすことをおすすめしたい。

また、女性専用の施設を用いるべきだというが、さようなことを他の属性(男性のみも含む)にすればどうなるかは言うまでもない。

男性の性犯罪が多いからという理由も、男性全体に対する割合も見ていなければ、黒人の犯罪が多ければなどといった理屈を用いられるかどうかを考えれば、通じないこともわかるだろう(詳しくは統計的差別を調べること)。

それでもなお、一部の例外(尼寺が行った事例)を用いて宗教上の理由だから許されると言い訳する者や属性と性別は違うと言うこれまた初歩的な段階レベルの言い訳は散見される。

現代において、だんだんと性別で分ける空間というものは、宗教であってもその数を縮小しているものであり、高野山・富士山など女性にも開放されている空間は増えている。

また、土俵などのようにフェミニストがすでに侵食しているような場面もあるなど、思想的な優越性も科学的な物事が理解されるにつれて、宗教的な理由というものも徐々に廃れており、女性が行き来する空間や分野も増えているにもかかわらず、急激な保守化もいとわない意見も目立った。

また、浴場やトイレといったどうしても裸にならないといけない性的羞恥心を感じるためにやむを得ない場面と混同して、これらと同じでもない場面でも認められるべきという主張も見たが、あまりに状況の違いを判断できない困った論理は、書くたびに頭を抱えそうになる。君たちはいつも裸で生きているか、ずっと服を着ているわけでもないだろう。

ただでさえ、性分離論は性犯罪において厄介な事情になっているのであり、海外事例も否定的な見解が目立つ中で、日本では逆行させるのは性差別を助長しているとしか言えないのである。

しかし、性犯罪だからという大義名分を下手に持っているからこそ、デマで防がなくてはならないことがわからなくなっている。

中には個人で女性を受けれるという話もあったが、逆に見知らぬ個人宅に引き込んだうえで性犯罪を誘発する危険性もあるため、かえって性被害を助長することにまでつながっている。

あと、めんどくさい人向けに、適当に反論したものも載せておく。


3 今一度言おう、差別的言動や差別的手法を取りやめるべき

緊急時におけるデマは多くの無駄なリソースの消費から始まり、相互不信を誘発するだけではなく、成れの果ては過去に起こった悲惨な事件や差別が起こるまでいくだろう。

だからこそ噂は慎重に扱わないといけないのであり、過去に性犯罪も(だからこそ)デマが風潮されたからこそ、より慎重に扱わないといけない。

デマが起こすバイアスを防ぐためには、まさに性犯罪に対するバイアスを真っ先に警戒しなければならないのである。

そして、今一度言おう。君たちのやっていることは単にデマの扇動だけではなく、ヘイトスピーチやヘイトクライムであり、唾棄すべき行為である。これらを理解もしないくせに善人だと信じて行動するのを止めろ。お前らにできるのはそれだけだ。


その他参照

東日本大震災時の警察からの注意喚起

警察庁は1日、東日本大震災の被災地で「強盗や性犯罪が多発している」などと、不安をあおるような根拠のないデマ情報が流れていると発表した。震災後からこれまでに岩手、宮城、福島3県の被災地で確認された殺人や強盗、強姦などの重大犯罪はゼロ。警察庁は「不確かな情報をうのみにしないで」と呼びかけている。

「強盗多発」などデマ情報注意を 警察庁が呼び掛け - 日本経済新聞 (nikkei.com)


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