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『君たちはどう生きるか』吉野源三郎

宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』を見に行き、
原作を読んでみたくなったので、今日は原作の感想を

戦時中に書かれた本だけあって、
人間として本当に大切なものは何か
ということを問い続けてくれる本でした。

まず、主人公のコペル君は頭がよくで成績は良いのに
いたずらっ子でいつも先生に注意されている
というのが何とも好感が持てます。

物知りで大人ぶらないおじさんが
コペル君のよき理解者となり、導いてくれます。
この2人の関係が「大人と子ども」ではなくて、
「人と人」であるというところもまたいい。

大人が子どもにえらそうにしてしまうことって
わりとよくあると思うんですけど、
長く生きているというだけで同じ人には変わりない
ということを私は常々思います。
先に生きるものとして、後に生まれた人に
どのように接したらいいのかを体現してくれている
ようなおじさんでとっても素敵です。

コペル君の日常とおじさんがコペル君のしたことや
考えたことに関して意味づけをするノートで物語が
進んでいくのですが、

おじさんのノートの中から好きな一節を。

「ぼくたちも人間であるからには、たとえ貧しくとも、そのためにつまらない人間と考えたりしないように。
ーまた、たとえ、豊かな暮らしをしたからといって、それで自分をなにか偉いもののように考えたりしないように、いつでも自分の人間としてのねうちに、しっかりと目をつけて生きていかなければならない。」

「君たちはどう生きるか」P133

人間としてのねうち
を見失わないように生きていく
これが、この物語の核心だと感じました。

自分の価値を地位や名誉、持ち物など自分以外のもので決めてはいけない。
わかっているようでも、生きていく中で無意識に見栄をはってしまって
いたりするので、「人間としてのねうち」という言葉を胸に
これからも生きていこうと思いました。

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