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空白を埋める方法

今年5歳になる里子と暮らし初めて半年、ここ最近の夜泣きがすごい。

日常生活ではとても”良い子”で、特に問題行動が有るわけでも無い。
だいぶ新生活に慣れ、甘える素振りが増えた頃、急に夜泣きが増えてきた。

まるで赤ちゃんのようなギャン泣きをする。当人は寝ているのか、寝ぼけているのか、、、ただ、赤ちゃんとの違いは、夜泣きに「言葉」が有る事だ。

「やめて!ごめんなさい!!」そんな必死な叫び声と、地団駄を踏む様な手足の動き、涙がとめどなく流れ、やがて静かになる。

 最初の頃は怖い夢でも見たのか?揺すって起こしてあげていたが、最近は無理に起こすのをやめた。

正しいのか、効果が有るのかはわからないが、発せられた言葉に対し、「そうだね、嫌だったね、もう大丈夫」そんな言葉をかけ、体に手を添えるだけにした。何となく、それが良いように思えたから。

ある晩、いつものように大声で泣き叫び、胸に手をそっと当てた時、
急に腕にしがみ付いて来た事があった。

「やだ、いかないで、ずっと一緒にいて」

これも寝言のような、か細い声で発せられた言葉だった。

この子は育児放棄のような状況で児童相談所に保護された子だ。
実母との記憶は鮮明に覚えているのだろう、教えてもらった情報でおおよその状況は把握していた。

夜泣きが始まったころから、日を追うごとに状況が変化している事に気が付いた。

きっと頭の中で、赤ちゃんの頃の記憶からひとつひとつを思い出しては処理しているのだろう、苦しかった事や悲しかった事、して欲しかった事など、寝言のような言葉で察する事が出来た。

「ずっと一緒にいて」

この言葉は、最初は実母に対する想いかと受け取ったが、その後の寝言から違った意味だったと解った。

新しいお母さんに対する「ずっと」という願い。

心の埋まらなかった空白を、一生懸命に埋めようとしていたのだろう。ひとつづつ、いっこいっこ、足りなかったピースを埋めるように。


楽しかった思い出や、笑えるような寝言も増えてきた今日この頃。

この先も、「ずっと一緒にいるから安心なさいな。」
寝る前に一声かける魔法の言葉。

今日は楽しい夢を見れるといいね。


#子どもに教えられたこと

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