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AI系難関国際会議に採択されるための10のコツ

AI系の難関国際会議に採択されるには、攻撃力より防御力が大切です。明らかに秀逸な論文はこの限りではないかもしれませんが、大半の論文にはこれが当てはまると思います。

この記事では、まだAI系の難関国際会議に採択されたことがない方向けに、採択されるための防御力を上げるコツを10個紹介していきます。僭越ながら研究初心者の経験が元になっていますので、上級者には当てはまらない部分もあると思います。ご容赦いただけましたら幸いです。

1. 研究コミュニティで共通課題となっているDoableなテーマを設定する

論文になるテーマを選ばなければなりません。研究テーマは自分の独りよがりではだめで、ある研究コミュニティで課題とされているテーマに取り組む必要があります。学術研究における新規性は、過去の研究の積み上げの元で相対的に生み出されるものです。このテーマ設定を誤ってしまうと、Introductionもうまく書けません。

また、自分や自分のチームではできないようなテーマ設定をしてはいけません。非現実的なテーマ設定をしたところで、いたずらに時間がかかってしまいます。また、あなたの研究を行う予算が足りなければ、研究そのものが完成しないかもしれません。初心者が困難なテーマ設定をしてしまうと、他に人に先を越されてしまうかもしれません。また、あなたのテーマが研究コミュニティにとって重要ではなくなるかもしれません。進展の速いこの業界ですのでスピード感を持って取り組むくむためにDoableなテーマ設定をすることも重要です。

2. 根拠のない主張と根拠にならない実験も書かない

根拠がない主張はしてはいけません。根拠がない主張はReviewerに指摘されてしまいます。根拠がなければ、その指摘に対して有効な反論できません。したがって、あなたの主張に裏付けがある理論や十分に実験が論文に含まれている必要があります。

また、根拠とならない実験を論文に含めてはいけません。国際会議論文は限られたページ数で書かなければいけません。そのため、主張に対する根拠にならない実験の結果のような無駄な記述は避けるべきです。補足的な実験等の結果があれば、それらはAppendixに書きましょう。

3. 難しい単語や表現を使わない

ネイティブが書いたような論文を目指さないでください。ノンネイティブはネイティブのような英語はできなくて当然なのです。ノンネイティブがネイティブのような英語を書こうと思うと、大抵の人は不自然になります。また、研究者(Reviewer)は一般にノンネイティブのほうが多いです。ノンネイティブのReviewerは英語の専門家ではないため、ネイティブが書いた英語はむしろ読みにくく感じる人もいるのです。客観的に見て自分が読みやすいと感じる、ノンネイティブの上手な英語を目指しましょう。

4. 査読を意識した書き手になる

あなたの論文は人に読んでもらうためのものだということを忘れないでください。Reviewerも人間です。あなたが読み手だったら、誤字だらけで不自然な構成の文章と、誤字もなくわかりやすい文章、どちらのほうが真面目に読もうと思いますか?きっと後者ですよね。真面目に読もうと思わない論文は、たとえ無意識だとしても正確に主張が理解されないことがほとんどだと思います。Reviewerに真剣にあなたの論文を読んでもらい、論文を正しく理解してもらうために、あなたの貢献を伝える努力をしましょう。

5. 7回以上読み直して推敲する

最低7回以上は、できれば10回以上の推敲をしましょう。母国語での執筆物ですら、1回書いた文章は読みづらいことが多いものです。外国語ではなおさら読みづらくなります。推敲も一気に実施せず、1日置いて確認するなど、客観的に読める状況を自分で作りましょう。

また、できれば自分以外の人に相談に読んでもらいましょう。自分の研究室などの先輩でもいいですが、別の分野の人に読んでもらうことも有効だと思います。客観的な視点からアドバイスが得られるはずです。自信がなければプロに校正してもらうのもいいかもしれません。数万円で論文の質が向上するなら安いものです。

6. その研究の主張がよくわかる図を1ページ目に

論文の主張を示す図を最初のページに載せましょう。ブログやnoteの記事でもアイキャッチが重要ですよね。適切な図は予備知識ゼロの読者に対してわかりやすく主張を伝える効果をもたらします。このような図を1ページ目に配置することで、Reviewerにとって読みやすい論文になります。Reviewerが関心を持って読むか、義務感で読むか、どちらのほうが論文の主張が伝わるかを想像してみてください。関心を持って読んだほうが、あなたの主張を誤解される可能性が減るはずです。

7. 本文を読みたくなるAbstractに

Abstractはあなたの研究に興味を持ってもらう重要な要素です。タイトルの次に読まれることでしょう。Abstractだけを読んであなたの研究の背景や目的、方法や結果、そして結論がある程度伝わらなければいけません。これらを短いAbstractにまとめることは非常に難しいことですが、こだわる価値があります。ReviewerもAbstractから読むはずですから、この段階でReviewerに興味を持ってもらうことは、査読で正当な評価を受けるためにも重要なことです。

8. 「タイトル」であなたの研究を一言で表す

タイトルはあなたの研究の顔です。読者が最初にみるものです。論文リストがあった場合、タイトルは必ず表示されますよね。それを見て、あなたはその論文を読むのか読まないのか一瞬で判別するはずです。タイトルでは端的な言葉であなたの研究について読者に教えてあげてください。何日でも考えてみる価値があります。

9. 諦めずに投稿する

諦めずにあなたの研究に合った国際会議に投稿しましょう。そうはいっても、時期の問題やどんな国際会議に投稿すべきかわからないかもしれません。周りから情報収集ができれば一番ですが、そんな環境でもないこともあるかもしれません。そんな場合は国際会議の情報を詳しく調べた上で、思い切って投稿してみましょう。投稿した結果、Reviewerからの査読内容であなたが投稿した国際会議の温度感がわかります。また、Reviewerからの指摘から、あなたに欠いている視点が浮かび上がるかもしれません。結果がだめだったといても、Reviewerからの指摘を受け入れて原稿を修正し、別の国際会議に積極的に投稿してみましょう。何度か投稿していれば、各会議の傾向がわかるはずです。

10. Reivewerはお客様です

Rebuttalの際には、Reivewerの感情を刺激しないようにしましょう。Reivewerは無償で査読をしていることを忘れないでください。仮にあなたの論文をReivewerが正しく理解していなかったとしても、Reivewerの無知を露骨に指摘してはいけません。あくまでお客様だと思い、誤解を解き、相手にも納得していただくことを心がけましょう。

Rebuttalの効果的な方法についてコメントします。まず、Rebuttalからのコメントをグルーピング・分類しましょう。グルーピングは似たものをまとめます。グルーピングしたコメントを、評価してくれたコメント、厳しいコメント、どちらとも言えないコメント、これらの3つに分類しましょう。

次に、グルーピングしたどちらとも言えないコメントと厳しいコメントに対して、回答案を考えます。これは日本語でも構いません。共著者がいれば、共著者にも回答を考えてもらいましょう。

最後に、分類したコメントと回答案からRebuttalを作成します。RebuttalはReviewerも読みますが、MetaReviewerも読みます。したがって、MetaReviewerにも理解してもらうように書くことがコツです。Rebuttalでは、まずは自分の論文に対して受けた評価を総括しましょう。ここで、Reviewerが評価してくれたコメントも加えておきましょう。厳しいコメントばかり取り上げてしまうと、MetaReviewerが自分の論文に悪い印象を持ってしまうかもしれません。総括の次に、各グルーピングした「どちらとも言えないコメント」と、「厳しいコメント」に対して回答していきます。許されている形式次第ではありますが、誰のどんなコメントに対して回答しているのかをわかりやすく客観的に記述することが重要です。

最後に

国際会議に採択されるためには、テーマの設定からRebuttalまで戦略的に行っていく必要があります。この記事の内容を踏まえた上で、積極的に国際会議にチャレンジしてみましょう。投稿しないと採択されることは絶対にありませんからね。

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