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「夢の国」はどこにある

家でお菓子を作りながら、卵アレルギーだった私に

「これ卵入ってるよ!笑」

と入ってもいないのに茶化すように言ってくる人たちがいて嫌だったことを思い出す。

私が卵を少しずつ食べられるようになったのは、病院で食物経口負荷試験を受けた高校3年の頃。

卵アレルギーのある子どもでも加熱したものなら食べられるという人もいるが、小学校の調理実習で卵を使った調理をしている家庭科室にいるだけで顔が赤くかゆくなるほどに重症だった。

当時18歳。卵アレルギーのある大人に出会ったことがなく、このまま一生卵アレルギーのまま生きていくのかと焦っていた。

そんなとき感動したのが東京ディズニーリゾートの姿勢。

私がそれまで見てきたほかの飲食店では、食物アレルギー対応メニューはあってもそのほとんどは子ども向け。

しかし、東京ディズニーリゾートは食物アレルギーのある大人も取り残さない。

食物アレルギーのあるすべての人を対象にした「低アレルゲンメニュー」が用意されている。※一部店舗限定

お子様メニューと同列に見ることの多かった食物アレルギーのある人向けメニューが、お子様メニューとはべつに設けられていることが嬉しかった。



2年前、東京ディズニーランド内にあるクリスタルパレス・レストランにてディズニーキャラクターブレックファストを予約した。※現在は終了

プーさんやその仲間たちとグリーティングをしながら朝食を楽しむことができる。

朝食用低アレルゲンメニューは「大人」「4才から8才までのお子様」とボリューム違いの2種類用意されており、低アレルゲンメニューに大人も含まれることがはっきりとわかる。

受付で低アレルゲンメニューを希望すると、タブレットを持った担当者がやって来て自分でアレルギーのある項目をタップし、サービスに同意する。

オーダーした低アレルゲンメニューは赤い旗のような目印をおぼんに乗せて先ほどのスタッフが席まで運んでくれた。

通常メニューと低アレルゲンメニューの違いは以下の通り。

通常メニュー
□ミッキーのパンケーキ
□ソーセージ
□スクランブルエッグ
□ワッフルポテト
□サラダ
□フルーツ
□ドリンク

低アレルゲンメニュー
■ミッキーのケチャップおにぎり
■ソーセージ
■温野菜
■ハッシュドポテト
■サラダ
■フルーツ
■ドリンク


原材料をいちいち確認したり卵が含まれていれば仕方なく残したりすることが当たり前だった私は、食物アレルギーのある人が来店することを前提としており、対象者が来店しても当たり前のように対応してくれる姿勢は心強かった。

段差なく前に進めるとはこういうことなのね。



幼稚園の頃(18年前)も同じように、ショーの食事やホテルの朝食でアレルギー除去食を用意してもらったのを覚えている。

当時はおそらくメニューに無く、母が事前に電話で相談の上、個別に対応してもらったように思う(お母さんありがとう!)。

普段はみんなと違う食事が嫌だったけれど、このときは特別嬉しかったなあ。

東京ディズニーリゾートの公式サイトにはバリアフリーに関するお知らせの中に「お食事に制限のある方へ」という項目がある。

レトルト食品の湯煎が可能な店舗、電子レンジによるお弁当加熱が可能な店舗、ペースト加工対応店舗、きざみ加工対応店舗、ベジタリアンメニューのある店舗、低アレルゲンメニューのある店舗がそれぞれまとめて閲覧できる。

私のように食物アレルギーのある人だけでなく、さまざまな食事制限のある人を幅広く視野に入れて取り残さない。壁を壊しまくってくれてありがとう、東京ディズニーリゾート。



「夢の国」はどこにある


「これ卵入ってるよ!笑」
「なんで卵食べられないの?」

どちらも実際にかけられたことのある言葉。みんなと違った食事は恥ずかしいことだと思い込んだ子ども時代。

学校給食は代替え食の提案もあったけれど一人だけ違うことが恥ずかしく拒否。卵は食べないのでみんなと食べるスピードを合わせた。給食委員会が時々行う残食点検はいちいちどきどきした。

サンタさんの砂糖菓子が乗ったクリスマスデザート、羨ましかった。私は代替えのムースだったけれど何か言われるのが嫌なので持ち帰り家で食べた。クリスマスデザートの日は憂鬱で登校拒否をしたこともあった。

みんなと同じ食事ができたらそれは嬉しいけれど、一番はみんなと違う食事スタイルを否定しないことに尽きる。

みんな違っていられる、段差のない「夢の国」。

きっと私が、あなたが。
誰にでもどこにでもつくれる。

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