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story ショッピング

今日も昼過ぎに目が覚める。携帯で時刻を確認すると14時を回っていた。夏も終わり塗装屋を辞めてからもう少しで2ヶ月が経とうとしていた。夜に寝て朝に起きるという規則正しい生活とは真逆の生活を送ってる。
最近は沼尻に紹介された仕事にも慣れてきて何度か繰り返すうちに罪悪感やドキドキすら無くなってきた。物を預かって指定の場所に置く。ただの作業。 一回1〜2時間で1万5000円〜2万円の報酬だ。割が良すぎて職人には戻れなくなってる。 最近は時計を付けてる男がカッコ良く思えてきて人生初の腕時計を購入することにした。形から入りたかった俺は地元のリョウを連れて久しぶりの新宿に買いに行く事にした。尾島先輩のいる街。

電車に乗ってLABIと大きく書かれたヤマダ電機の建物が新宿は印象的だ。新宿は歌舞伎町がイメージされるけど、結構ハイブランドの店舗が立ち並んだりしてる一面もある。自分の知ってる限りのブランドの店は入って時計を眺めた。1番最初はロレックスの店舗に入った。値段をみると全て100万円超え。とてもじゃないけど買えなかった。  「腕時計ってこんなに高いの?」と正直少しビビった。笑                  見るからにガキだからか俺たちが田舎臭いのかは分からないが「こいつらが買うのか?」と言われてるような気分になった。ショッピングモールやドンキにあるブランド品売り場とは全然違う店内の雰囲気だ。                腕時計は18歳くらいだとアルマーニを付けてる奴が多い気がする。アルマーニの店舗も一応見てみると値段は3万円とか高くて7万円とか。なんかパッとしないし「皆んなと一緒はつまらないなぁ。」と思いGUCCIの店舗に入ると15万円の腕時計が気に入った。現金で即決購入した。文字盤は黒でベルトはシルバーのシンプルなやつ。俺はその場で左腕の手首に巻いて店を後にした。

腕時計の相場とかは分からないけど値段もそこそこ高いしGUCCIの時計はみんな身につけてないしかなりいい感じ。キラキラしてて何度も自分の時計を見てしまう。変なやつだ。        リョウは金額を見て即決購入した俺を見て驚いてたけど3、4日で稼げる金額だと思ったら痛くも痒くもなかった。完全に間違った優越感に慕ってたよな。金をたくさん稼いだ奴が偉い。そんな風に考えてた。                 買い物も終わり新宿の居酒屋で飲んで帰る事にした。都内はほぼ年齢確認されないからどこでも飲める。深夜に歌舞伎町を2人で散歩したりもしたが尾島先輩とすれ違う事はなかった。      夜の新宿は黒人が沢山いたり無法地帯感満載だ。結局俺たちは4件ハシゴして朝まで飲んで流石に酔っ払ってしまい、2人とも路上で戻す羽目になった。酔っ払いながらリョウは社長に仕事を休む連絡入れてる。笑               少し休憩をしてから始発に乗って地元に戻ることに。                    翌日リョウがやってる足場屋の現場にバイトに行く事を約束し朝6時半に自宅に到着しシャワーを浴びて眠りに付く。口うるさく言ってきてた母親も最近は呆れ帰ったのか何も言わない。     爆睡して夕方に目が覚めた俺はとりあえず翌日の為に作業着を買いに行く事にした。ペンキ屋をやってたから作業着は沢山あるけど全部がペンキまみれだから新調することに。迷った結果、白の超々ニッカを購入。久々の現場仕事。少し楽しみだ。しかもリョウと2人での現場だからより一層楽しみ。夕方まで寝ちゃったから結局その日の夜は一睡も出来ずに朝5時。春日部にあるリョウの会社までマジェスタで向かい社長に挨拶をしてから作業車に乗り換えて2人で現場に向かう。リョウは免許がないから運転要員で呼ばれた感じだ。まぁ、2人で現場行けるし文句は無かった。      ハイエースで現場に向かう朝の気怠い感じが久々で新鮮。お馴染みの朝の缶コーヒーとタバコ。最高な組み合わせ。朝飯はコンビニに寄ってオニギリを食う。出発から2時間。横浜の現場に到着。 

「うっし。やるか〜」リョウが大きなアクビをしながら作業開始。塗装屋の時に何度か足場を組んだ事もあったからそこまで難しくは感じなかったけど鈍り切った体に久々の力仕事はなかなか効いた。順調に作業を進めて昼3時に作業を終了。初めて一緒に仕事をする割にはかなり仕事の出来るコンビ。足場の上から街を眺めながらタバコを吸うのはすげー気分良い。            会社に戻る途中リョウは爆睡しててムカついたからイビキかき始めてから音楽を爆音にして何度も起こしてやった。笑             会社に到着し、リョウの会社の社長に挨拶すると「またいつでも遊びにおいで」と言って運転もしたからと色を付けてくれて日給1万千円くれた。 帰りは久しぶりの作業着でリョウと春日部駅前でプリクラを撮った。             春日部駅を出発すると急に大便がしたくなってリョウに車で待ってもらい駅の外れのトイレに駆け込んだ。用を済ませた俺は手を洗ってると作業着きた奴がぶつかってきた。またリョウがふざけてるのてるかと思って振り返ると金髪の全然知らない奴だ。そいつは何も無かったように小便してる。                   「おい、ぶつかってきてなんだテメー」すぐに喧嘩勃発。相手もヤンキーで引かない。   「あ?テメーがそんなとこいるから邪魔なんだよ。見ねー顔だな。どこだよ」と言ってくる。 俺は何も言わずにそいつの髪の毛掴んで手洗い場に頭を叩きつけた。             ゴンっ!想像以上に勢いよく当たってしまいそいつはそのままぶっ倒れた。また髪の毛を掴んで3発顔面パンチを入れた。「なんだよ春日部の人間って弱えーんだな。白里の中島っつーんだよ。覚えとけよ」と言って立ち去ろうとすると足を掴んできて「テメー顔覚えたかんな」って言われる。なかなか気合い入った奴だ。俺は足でそいつの手を振り解いて最後に顔面に蹴りを入れてトイレを出た。                    車に乗り込んで地元に戻る途中さっきの喧嘩の話をリョウにすると「龍二、それやばいよ〜。春日部ヤンキー多いから絶対これだけで終わんないよ」なんて言ってる。いつでも来いって感じだ。


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