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ふるさと納税の功罪

給与から税金を始めとした諸経費を天引きされるサラリーマン。
『手取り』や『手残り』といった風な言葉がある程度には大きな差額がある今日この頃。
世界でも日本の税金は安いなんてどの口が言えるのだ、なんてげんなりしそうですよね。
そんな中、手軽かつサラリーマンの数少ない節税方法の一つに挙がるのが、この『ふるさと納税』です。

これまでは必要性に駆られていませんでしたが、もやしも去年ようやく調べながらも初めてみました。
色々と面倒なこともありますが、なかなかどうして。
玉石混交とはよく言ったもので、結局『贅沢品』より『必需品』の方がもやしに合っているようです。
そんな風に恩恵を享受したばかりのもやしが、少しばかりこの仕組みについて語っていきたいと思います。

あ、今回の仕組みは、他のサイトで言うような『こうすればできるよ!』ではありません。
もちろん、お得だよ、みんなもやろうぜ! みたいな話でもありません。
少し考えればわかることなのですが、いろいろなものに目がくらんで気付かないふりをしていることですよ。

1:コストのお話

そもそもの話ですが、何かを『移動させる』にはコストが掛かります。
物であれば、トラックと運転手などの運搬費が。
自動的なデータのやり取りであっても、パソコンと電力が必要です。
最もコストが掛からないのは『何もしない』や『動かさない』ことだと言えるでしょう。

ではこの前提を頭に入れてください。
『ふるさと納税』は、寄付を行う自治体を選んで行います。
その際の追加負担額は年間で一律2000円。
誰が、どれだけ寄付しても変わりません。

また、この制度を利用すると本来は現住所へ支払うはずだった税金を指定自治体に寄付します。
これはつまり同額を『付け替え』しているわけですね。
となると『現住所の自治体に減税処理』と、『寄付先の自治体に寄付の処理』が必要になります。
この時点で二重の手間が掛かっています。
そればかりか前者の現住所の自治体からすると仕事が増え、処理したことによって税収が減るわけです。
税収……つまり収入が減る仕事ってやってられないと思いませんか?

しかも悪いことに個人単位かつ、複数回に、別の自治体宛に行えます。
利用者からするとありがたいものの、対応する自治体からすると嫌がらせに思えることでしょう。
それらの仕事量が膨大になるのは明白で、内政化するにもあまりに負担は大きい。
年末の駆け込み需要も相まって、今まではなかったはずの繁忙期まで発生することでしょう。
だからと外注すれば出費ばかりが積み上がり、なかなかどうして。
進むも退くも地獄ではありませんか。

2:返礼品の大きな負担

さらに気にかかるのは寄付額の三割を上限に行われる『返礼品』の存在です。
いくら自治体側が返礼品を選べるとはいえ、用意する時点で多大な費用が掛かるでしょう。
そもそも、もやしのような小市民は、返礼品目当てに寄付先の自治体を決めているのです。
生半可なものでは納得しません。極力自分に得になるものを選びます。
つまり『現住所の自治体がもらえるはずの税収(例:一万円)』が、『寄付先の自治体は何故か三割減(七千円)になっている』わけです。

また、ふるさと納税のサイトや自治体を経由して各業者に渡ります。
そこから業者のタイミングで返礼品の発送が行われるため、場合によっては大きなタイムラグが発生します。
このため、受取日が読めないことで準備ができない納税者、そして配送業者には大きな負担です。
同様に、業者からしても新規発注分の仕入れ額が、前回と毎回同じとは限りませんからね。
昨今のインフレ圧力によって肉の単価が上がり、返礼品の上限額を上回ったって話が出ていましたよね。
アレって確か、自治体がその分を税金で補填するとか言ってた記憶があるのですが……。
税収アップのための施策で損失出すって、目も当てられませんよね。

こうして得られたはずの税収の総額は、ふるさと納税を介することで確実に減ってしまいます。
それでもやめられないのは、寄付先に選ばれなければ税収が激減するから仕方ないね!

3:税収減少とは

さぁ、なかなか恐ろしい気がしますね。
ですが問題なのはここからです。
こうして個人がふるさと納税でうつつを抜かしていると、力のない自治体が悲鳴を上げ始めます。
そもそも納税額の総額は、ふるさと納税の利用額分だけ減っています。
そう、この時点で減っているのです。
何なら事務コストも乗ってくるので、結構な損失なりそうです。

そうなると困るのが、これまで100%の納税額でも足りないか、ギリギリだった自治体です。
減った分だけ公共サービスを削減するしかありません。
だって原資がありませんからね。

ほらほら、深刻さが増してきましたよっ!
サービスを削る程度で済んでいるならいいのですが、それこそ公共事業ができないと致命的です。
もやしの地元の和歌山も、水道橋が落ちて阿鼻叫喚に陥りました。
十日ほどとは言え、あまりにも対策が不十分だったと痛感させられる事件でしたね。

このように何度も議題に上がっても、優先順位を下げて問題を先送り。
挙句に実際に問題が起きてから慌てふためき、状況復旧だけで多大な時間と労力と費用が掛かる。
もちろん、仮設を『新設』にするのに、輪を掛けて莫大な額の積み増しが必要になるわけです。
それもこれも、税収が潤沢にあれば防げていたかもしれないですからね。

実際に『公共事業に資金が回せない』って、単純に『住みにくい自治体になる』のと同意義です。
その資金源にダイレクトアタックしている制度が『ふるさと納税』なんですよね。
そういえば京都って財政破綻寸前ってニュースになってましたね。
夕張のことを思えば、明日は我が身って感じる地域結構あるんじゃないですかね?
いやぁ、利用させてもらっといて言うのもアレですが。

それにしても、ふるさと納税の手続きって、自治体によって違うとか頭おかしくないですか?
どう考えても画一的なシステム組んで、全自治体が加入した方が楽じゃない?
そもそもデータベース化するためのマイナンバーでは?
ざわざ紙に張り付けたり写真撮ったりとかわけがわからぬ……。
このネット全盛期で未だに無駄な事務処理をさせるな、と心から送りたい。
アナログなことって未だに多いよね……デジタル庁早く仕事してっ!

なんて話をしてきたもやしは何の専門家でもないので話半分でお願いしますね☆
でも、『自分のお得=誰かの付加価値(サービス)』であることは忘れてはいけませんよね。

#ふるさと納税 #考察 #税金について #功罪 #コスト

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