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雑考・日記・メモ「漫画アシュラの事」

昨年亡くなった白土三平(2021年10月8日)。白土三平の『カムイ伝』は好きです。でも、人の「在り方」に関してジョージ秋山の『アシュラ』程徹底していない気がします。

「生まれてこないほうがよかったギャア!」とアシュラは叫ぶ。何故俺は生まれてしまったのか!俺が望んだわけではないのに!

『アシュラ』に一貫している苦悩であり叫びであり、問いである。

この衝撃的なセリフ。

しかしこのセリフのインパクトに比して『アシュラ』は、生まれてしまったという事を徹底して問う、徹底した問いの物語にはなっていない。問いというよりも、生まれてしまったという苦悩と叫びを重ね語る作品になってしまっている。

それだから「生まれてこないほうがよかったギャア!」と言うアシュラの「在り方」への問い(あるいはプロテスト)は、最後アシュラの出家でもって答えと成されてしまっている。これを救済と言えば聞こえは良いが、そこが私は不満でもある。

存在論としてのロングフル・ライフ控訴の論議に『アシュラ』はやはり耐えられそうにない。アシュラの出家。そういう部分にジョージ秋山が結末を持っていってしまった事は、とても残念。

2022年1月31日 岡村

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