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空沼岳

日程:2002年6月16日
メンバー:Fさん、Iさん、Iさんご友人、ぼく

 札幌の街からは山並みが連なっていつも見えています。
まだ山名や位置関係がわからないまま、通勤電車から眺めています。
機会があって、いつものFさんと、Fさんが連れてきてくれた若い女の子2名と一緒に湯ノ沢から空沼岳1249mへと行ってきました。
この日、土曜日の天気予報は曇りのち雨…とにかく登山口まで。

 採石場内を申し訳なさそうに過ぎ、真駒内川に沿った林道に登山口はありましたが、札幌で一番人気と聞いていたのに、到着した8:30でも先行者は数名程度で驚きました。
ここからは支笏洞爺国立公園なのですね。
片道7.7kmの登山路なり…あの知床羅臼岳よりも長いのか…
 天然林らしい針広混交林には古い巣箱が多数設置されているのが目につきます。ササの中に木の根の土路がたらたらと続いていきます。
コマドリやウグイスが歌声を響かせ、まだ初対面同志のぼくは明るい言葉を探しながらの登山です。登りはひどく緩斜です。
やがて(ホントウに単調な路なので)、妖しく蒼色の大きなシラネアオイ(初めて見ました)が咲く滝が現れ、静かな湖畔のという感じの万計沼(ばんけいぬま)に辿り着き、山の中にひっそりと佇む沼の美しさの存在がとても新鮮です。
大きな万計沼小屋が南を向いてどっしりと陽を浴びています。
そこからもたらたらとした路をゆき、やがて(またしても単調のため)真簾沼(まみす)の横を辿りますが、全体的に雨天時またはその後には泥と滑りで歩きたくない登山道の印象を受けました。
サンカヨウとツバメオモトの白い花たちが眼につきます。
まだ一部、雪渓も残っていて、涼しさを感じさせてくれます。
やや急登を登って、札幌岳への縦走路との分岐に到着し、そのまま左に空沼岳方向へ。
11:55、ハイマツに囲まれた頂上に着。(ビールを忘れてきました…)

 エゾシマリスが走り回り、眼下には札幌の街並みが輝いています。
視界は半分程度で、楽しみにしていた恵庭岳や支笏湖方面は雲の中。
札幌岳がかろうじて雲の流れの移ろいの中で確認できる程度。
それでも、ここまで天気も持ちました。
この山は紅葉の頃が、沼めぐりの雰囲気があって良さそうですね。
 今回同行した方は花や植物にも詳しく獣医師免許を持つ控えめな公務員さん、初心者と自称するもその体力や脚力と純粋な明るさを持つIさんとは、下山する頃には人見知りもなくなり、いろんな話を楽しくしました。

 その中の話題をひとつ。
「人にあって他の生き物にないものとは何でしょうか?」
理性、涙、うそ、笑い、記憶などなど、いろいろと出ましたが…それは犬にはあるよね、それは牛にはあるなあ…などと後戻りの繰り返し。
みなさんは何だと思いますか?
 下山後、国道36号線近くにある某温泉に寄りましたが、入浴料大人1900円の看板を見て、玄関にて潔く引き返し。
まして、ぼくのようなカラスの行水者にとっては全く価値のない額ですよ。

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