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副交感神経はふたつあった!


1、前書き


ある日の分子栄養講座で副交感神経はふたつあるという話があった。
え、だって自律神経といえば交感神経と副交感神経のふたつであって、副交感神経がふたつなんて聞いたことないよと思った。
ところが、副交感神経ふたつある説を生物の神経発達の歴史とともに語られて、めちゃくちゃ納得してしまった。
ポリヴェーガル理論という考え方だそう。

もともと心理に関係する話は大好きなので、心理と関係の深い自律神経の話は面白くってたまらない。
振り返ってみると、自分がいかに自律神経とともあるかと笑ってしまう。
この話は、ぜひコーチング仲間に伝えたい!と思ったけど、なかなかそういう機会もなく。
とりあえず自分の理解のためにnoteにまとめてみる。


2、自律神経について


自律神経は、内臓や血管など様々な体内環境をコントロールしている。
意思とは関係ない。
ちなみに筋肉などを意思によって動くのは運動神経。

一般的には、自律神経には交感神経と副交感神経があるという理解だろう。
交感神経は、闘争と逃走の神経。
緊張しているときの神経。
瞳孔が開く、血圧が上がる、呼吸が早くなる、血糖値が上がるなど、「動」の働きをする。

対して、副交感神経は、安静と消化の神経。
リラックスしているときの神経。
血圧が下がる、呼吸が落ち着くなど「静」の働き。
「静」のときに、消化管全体が働く。
唾液、胃液、胃酸、膵液、腸液、胆汁の分泌、消化管のぜんどう運動が起きるなど。
緊張すると消化吸収が止まるというのはこういうこと。


3、生物の進化と自律神経


昔々、海の中の原始的な生物は食べて子孫を残すことが仕事だった。
その頃の生物の自律神経は消化管を動かすことと、危険が迫ったときにじっと静止して危険が去るのを待つなどの働きをする副交感神経のみだった。

その後、静止して危険を回避するだけでなく、威嚇したり攻撃したりして敵を追っ払ったり、積極的に逃げたりする交感神経ができた。
闘争したり逃走したりするためには、周りをよく見て素早く動けることが必要になる。
交感神経が働くと瞳孔が開いて血圧が上がり呼吸が早くなり血糖値が上がるのは闘争と逃走のため。
よくできている。


次の時代に生物は陸上に上がってくるのだけど、このとき副交感神経の働きがダイナミックに変化したのだと言う。
魚のエラ部分をつかさどっていた副交感神経が、耳や口、顎の表情を表す部分、肺や心臓をつかさどるようになったそう。

要するに、エラを失くしてコミュニケーションを手に入れたということ。
私たちのコミュニケーション力を支えている働きが昔はエラの働きを支えていたなんて、ちょっと想像できない。

ということで、ここにコミュニケーション担当の副交感神経が誕生した。


4、背側迷走神経と腹側迷走神経


ところで、神経には有髄神経と無髄神経がある。
ミエリン(髄鞘)があるものが有髄神経、ないものが無髄神経。
ミエリンというのは神経に巻きつくようについている組織で、ミエリンがついていると神経伝達のスピードが速いくなる。

このミエリンを作るにはエネルギーが必要で、生物が進化してエネルギーをたくさん作れるようになってから生まれた組織だそうだ。
新しい神経と言える。
ちなみに赤ちゃんは無髄神経ばかりで、生後だんだん有髄神経ができてくる。


話は副交感神経に戻って。
副交感神経を含む神経には動眼神経、顔面神経、迷走神経、仙骨神経の4つがある。

4つの神経は、ざっくり言うと下記のように役割分担されている。
動眼神経:目
顔面神経:目、舌
迷走神経:胃、肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓、小腸、大腸前半などの消化管、
     顎、気管支、肺、心臓など
仙骨神経:大腸後半、膀胱、子宮

4つの中でも迷走神経のしめる領域は広い。

その迷走神経は、背側迷走神経と腹側迷走神経に分けられる。
背側迷走神経は昔ながらの副交感神経で無髄神経。
消化管&静止担当。

腹側迷走神経は生物の進化にともなってできた新しい副交感神経で、有髄神経。
主に首から顎、胸上部をカバーし、聞く、話す、表情に深く関係している。
コミュニケーション担当。


◎自律神経まとめ
交感神経 →闘争、逃走の神経
副交感神経:動眼神経→目
     :顔面神経→目、舌
     :迷走神経:背側迷走神経(無髄神経)
             →消化管 =消化吸収、静止の神経
          :腹側迷走神経(主に有髄神経)
             →頭下部、胸上部 =コミュニケーションの神経
     :仙骨神経 →一部消化管、膀胱、子宮


5、ストレスと自律神経の関係


自律神経には交感神経とふたつの副交感神経があることがわかった。
ここで自律神経の発達についておさらい。


原始の生物の自律神経は、無髄の副交感神経(背側迷走神経)のみ。
「消化管」を動かす働きをする。
危険が迫ったときには「静止」することで生存率アップする働きもある。

進化の過程で、生き残るために敵、危険と戦う「闘争」、危険から逃げる「逃走」をつかさどる交感神経ができる。

さらに、もうひとつの副交感神経、有髄の副交感神経(腹側迷走神経)が発達し「コミュニケーション」ができるようになる。
これによって、危険、ストレスな状態をうまく調整するという新しい方法が生まれた。


以上3つの自律神経とストレスの大小には相関関係がある。

◎ストレスと自律神経の働き
ストレス度 小 ‥ 副交感神経:腹側迷走神経 (コミュニケーション) 
  ↓  ↑          ↓  ↑           ↓  ↑
ストレス度 中 ‥ 交感神経         (闘争、逃走)
  ↓  ↑          ↓  ↑           ↓  ↑
ストレス度 大 ‥ 副交感神経:背側迷走神経 (静止、フリーズ)


ストレスとは一言でいうと「変化」
危険なことだけでなく、喜ばしいことでも変化が大きいとストレス度は高い。
例えば結婚なども結構ストレス度は高くなる。

現代のストレスは多様で、コミュニケーションによるストレス調整は欠かせない。
新しい副交感神経、大活躍だ。

また良いも悪いも強い刺激を感じることが多く、交感神経優位になりがちだ。
リラックスしないと消化管が動かないし、血圧や血糖値が上がりっぱなしでは動脈硬化が進んだり体に負担になるので意識的にリラックスすることが必要。

すごく大きなショックを受けたとき「頭が真っ白になって動けなかった」なんて言うけれど、これは副交感神経の静止、フリーズの状態。
後から「どうして動けなかったんだろう」などと思うかもしれないが、自律神経は自分でコントロールできないのだから仕方ない、そういうものなのだ。
ただストレス反応は過去の体験や、体験の意味付けによって変わるので、これから変えていくことができる。


個人的にはフリーズラインが低いと思う。
すぐにフリーズしてしまい、後で(なんで出来なかったんだろう、、、)と思うこと多し。
これはHSP気質も手伝ってのことだと思う。
若い頃は自分にダメ出しばっかりしていたけれど、最近は(まあ、いいか)と思うようになっている。
歳を重ねて、諦め(明らかに見て受け入れる)が育ってきたからかなかもしれない。

以上、ふたつの副交感神経のまとめ、終わり。

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