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何度言われても繰り返す子を理解する。

着替えの仕方、ご飯の食べ方、字の書き方、何度言っても変わらない、手を出そうとすると振り払ってキレてくる。そんな子どもの特性について考える。
※この文章は経験則と2010年代の大学生レベルの心理学、特別支援教育の知識と自分の教員経験からなりたっています。
こんな子を注意深く見ると注意や記憶の問題が目立ってくる。結論から言えばメモリ不足である。
着替えや食事に容量の全てを割いている。だから保存する空き容量がない、保存ソフトが動かない。こうなると何回やり直そうと覚えられない。
途中で手を出すも手出しという新しい情報が入り込むので、パニックは加速する。だから「余計なことをするな」と拒否するのも納得できないだろうか?

気がついたのはご飯を食べているその子の箸の持ち方に、ほんの少しの手立てを講じた時。機嫌良く受け入れてくれたので見守ると、"箸が止まらない"「美味しくて」では無く、口がパンパンになっても皿が空になるまで止まらなかった。
その子は、箸の新しい使い方をするだけでそれ以上の思考ができなくなったのだ。付け加えて厄介なのは、こういった実態の子は瞬間で生きているため、やった直後に褒めるなりしないと褒められたこととやったことが繋がりをもって理解できないことが多い。つまりビデオや写真での振り返りは効果が薄い
人の記憶量自体は生涯変わらないと言われている。生まれながらにもった容量は変わらないから、私たちは語呂合わせや関連付け等をして、入れ方を工夫するのである。

これが障害者ともなるとただでさえ歪な記憶のカゴに丸めた服を突っ込んでいくようなものなので割と絶望的、さじを投げた方が建設的なのだがニーズがあれば教えるのが私達特別支援の教員なのです。

解決策としては思考できる空き容量を生み出すことが焦点になる。
つまり活動の負荷を落とす(プランA)か、余分な情報を削って容量を得る(プランB)かになる。

プランA
☆反復練習
基本、車の運転のように、繰り返せば意識しなくてもできるようになってくる分、工夫や修正する余力ができる。

☆好きなもの、キャラクターを付加する。

しょうもない手立てだが馬鹿にできない、好きなものは覚える。めんどくさくてもやってやるかくらいの余裕が生まれる。箸などは特に好物の食べやすい物でやるほうが圧倒的に効果的。

子供と仲良くなる。好きな人が言えば一発、嫌いな奴から人は学ばない。

プランB
☆シンプルに最小限の支援をする。
声と手を出さないようにする。見本の写真や手順表を子供の視界に置く、支援ツールを使う(エジソン箸やグリップ)、ことで子どもが考えなくても練習できるようにする。
逆に言葉かけを言葉を変えて繰り返す、小言を言うのはNG、メモリが足りないんだから先生がそれを食ってはいけない、言葉の指示って聞こえるだけでもかなり容量を食う。

☆分割できるなら活動、時間を分割する。
例えば給食の箸使いなら、箸で摘んで運ぶと食べるを分ける、おかずのみで取り組む、はじめの10分だけ取り組むなどがある。

☆視覚、聴覚への負荷を軽くする。
パーテーション、イヤーマフなどで注意を散らなくするだけでも余裕が生まれる。

<高難度>
☆子どもが自分で正しくやるような環境にする。
不思議なことに自分の思考なら自分のキャパに収まるからなのか、本人なりの試行錯誤は負荷が少ない上に覚えも早い。ただこれは途中で大人が修正しようとすると台無しなので綿密な事前準備が要る。


いろいろ書き殴ったがこれらの支援は、節約術みたいなものと同じで、組み合わせて積み重ねることが大切になる。
忘れてはならないのは上記の支援は私達が気にいるように子どもを矯正するためでは無く、子どもにより楽な生き方を提供するための支援であることは心に留めておきましょう(自戒)。

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