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廃駅の思い出を短編映画に。北海道の若手有志メンバーがクラファンを実施中

最近、「記憶に残したい」という気持ちが強く芽生えるようになりました。

ステキな人との出会い、駅までの通り道にあるお店、頑張った仕事……。気付けば生きることや日々の仕事に忙殺され、「こんなこともあったな」と振り返ることもなく、1年が過ぎているような気がします。不思議なもので、辛かったことや嫌だったことはずっと記憶にこびりついているのに、良かったことや嬉しかったことは写真や映像がなければ思い出せないことのほうが多くなっているのです(私の性格的な部分もあるかもしれないですが)。

特に駅までの通り道にあるお店が、工事を経て別の建物になった後、以前何が建っていたのかを思い出せなくなったときは、特別な寂しさを感じます。

新型コロナの影響で、さまざまな店舗や企業が苦しい状況に立たされ、中には「廃業しました」という張り紙を目にすることも多くなりました。

「何とか残ってほしい」という思いはありつつ、全ての店舗や企業が生き残ることは難しいのかもしれません。おきてがみが扱う「ローカル」という領域においても、感染症の拡大に限らず、人口減少や少子高齢化によって、地域そのものが成り立たなくなってしまうケースが今後出てくるでしょう。

とても寂しく、辛い出来事ではあるのですが、そのときに関わる人々の「記憶に残す」というプロセスが、とても大切になるような気がしています。

「駅が減る、それだけでは終わらせたくない」

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そんなことを何となく考えていたときに、クラウドファンディングサイト「Readyfor」で、あるプロジェクトを見つけました。北海道で廃駅になる駅に感謝を込めて、短編映画を作りたいというものです。

Readyforのプロジェクトページによると、稚内市と旭川市のほぼ中間に位置する美深(びふか)町において、来春に3つの駅が廃駅となります。美深町は総面積が東京23区よりも少し大きく、人口は約4000人。寒暖差が激しく、冬場には国内最低気温となる-41.5℃を観測したこともあるようです。

その美深町で廃駅となってしまうのが、「南美深駅」「豊清水駅」「紋穂内駅」。プロジェクトを実施する若手有志メンバー8人は、「地域を盛り上げたい」という想いのもと、今回の短編映画製作に取り組みます。

短編映画では、駅ができた経緯やそこに住む人たちの思い出、そして廃駅となる日を撮影し、最後の様子をフレームに収めます。「地区を支えてきた駅への感謝をしつつ、後世に記録として残したい」と記しました。

また、制作後は札幌短編映画祭に応募することを目標としており、この映画を通して“自分にとっての駅を見つめなおし、これからの駅を支えていくための第一歩にしたい”とのこと。4月末には制作を完了する予定で、町内公共交通機関に記録媒体で無料配布するほか、オンラインでの上映が行われます。

2月20日現在、目標金額80万円に対して支援金額は約32万円に。残り5日の募集ですが、ステキなプロジェクトなので、達成を祈っています。

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(余談ですが)地域で失われるものと向き合うという点では、ドイツのラオジッツ地方でおこなわれた「まちのお葬式」プロジェクトが印象に残っています。下記の記事に詳細が書かれているので、ぜひ読んでみてください。

(画像出典:Readyfor プロジェクトページ

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