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ようこそ、「孤独」の世界へ −拝啓、西条より。移住コラムその2

おきてがみ編集部の長尾愛里です。昨年9月から愛媛県西条市に移住しました。現在は「Next commons lab 西条」という一般社団法人に所属し、フードディレクターとして食に関する仕事に携わっています。

なぜ移住したの? なぜ愛媛県に? 理由は、移住コラム1回目でまとめております。愛媛県西条市に移住して、早4ヶ月。1番の発見は、私は今「孤独」だということです。

初めて迎える、経営者の「孤独」の気持ち

「Next commons lab」は、地域おこし協力隊の制度を活用しています。ですが、従来の制度に加え、どのプロジェクトも、3年の任期後には「起業し、稼げる状態になり、独立する」という目標があります。もれなく私も起業家の卵であり、独立を目指します。

私のプロジェクトでは、食分野の世界で活躍しているとある方に弟子入りをし、食に関するノウハウを学びつつ、商品開発や販路開拓などのコンサルティングを行う会社を起業する予定です。最終的には、西条の食に関わる素材や伝統、文化を次世代に継承していけるような動きを作り出したいと考えています。

(Next commons lab 西条では、「人間らしさを源泉とした産業創造」をテーマに活動しています)

3年後の独立を見据え、動き始めて数ヶ月。もちろん楽しいことはあるのですが、漠然とした「不安」が、常に私の隣にあることに気づきました。ふとしたとき、「なんとなく不安だな……」と思うのです。この不安はどこから来るのだろう? 自分の感情を解体していったところ、一つ気づいたことがありました。

「私は今、孤独なのだ」と。その孤独の世界は、初めて見えた景色でした。いじめなどで感じる孤独や、スポーツ選手の孤独とは、きっとまた違う「経営者の孤独」です。東京で企業に属して働いていた自分が、個人事業主になり、全ての判断は自分で決めるようになる。お金の稼ぎ方も、仕事のやり方も、今日どこに行き、誰と話すかも、全て自分で決めなくてはならない。つまり、誰にも甘えられないのです。常に自己との対話になります。

今まで甘えてきた会社員の自分

東京で働いていた時、私は、好きな「食」の仕事に就けて、毎日新たな発見ばかりで、楽しかった。でも、結局は会社員。どこかに「甘え」がありました。自分がどうあっても、考え方のベースは経営陣がすべて。「社長が言ったから」」「上司が言ったから」。そんなやりとりを幾度もしたことがあります。なんとなくの甘えの上に、自分の選択や仕事は成り立っていたのだと気づきました。そう気づいてから、世の中の経営者の方々への目線、自分の仕事への目線がガラリと変わりました。この孤独感を感じながら、すべて自分で決めていくという生き方。経営がうまくいっていようがいっていまいが、この生き方を選んでいるだけでも、とんでもない気力と体力と覚悟がいるのだな、と。

今の生活は、移住前の想像を軽く超えています。こんなに孤独を意識することは、想像していませんでした。ですが、驚きながらも、嬉しくも思う自分がいます。私はまだまだ駆け出しの起業家ですが、先輩経営者の方々と、同じ土俵の上に立ち始めたからです。経営者の土俵に上がって、見える景色が広がったことが、すごく嬉しいのです。違う世界が見えてくる、広がってくる。ありがたい経験だなあと噛みしめています。

「不安」と付き合う

Next commons labは、拠点ごとにコーディネーターを数人ずつ配置しています。各プロジェクトメンバーとコミュニケーションをとり、プロジェクトが円滑に進み、無事に起業できるようにサポートしてくれます。

私も、コーディネーターと月に1回ほど面談の時間を持ち、近況報告などを行っています。先日の面談で、孤独感についてもお話しました。すると、コーディネーターからはこんな返答が。

「その孤独感や不安は、ずっと消えない。不安との付き合い方を見つけるのが大事だよ」

この言葉に、また新たな感覚が開けたような気がしました。経営していくということは、孤独や不安と一緒に生きていくことなのだと。私なりに、この感覚と仲良くなっていけたらいいな、と思います。色んな経営者の方の「孤独」の捉え方を知りたくなりました。

(コーディネーターさんたちと、就任式にて記念撮影。右から二番目が筆者)

「孤独」な起業家が10人集まる

そんな孤独との共生作戦が始まった私ですが、とても楽しみなことがあります。孤独とともに生きる人が、あと9人も西条にやってくる、ということです!

Next commons lab 西条は、計10人のプロジェクトメンバーが着任します。私のほかにも、続々と着任し、愛媛県西条市に移住してきます。それぞれ起業を目指し活動するため、もれなく、みんな孤独を感じるのだと思います。

孤独と付き合っている人が10人も集まるって、とんでもないパワーに変わりそうだな、と思います。孤独を共有しつつも、それを起業のパワーに変換していく。そんな集団にいられることが、今は楽しみで仕方がありません。

さあ、孤独を楽しんでいきましょう。まずは3年間、孤独と仲良くなれますように。

(恒例にしたい、絵日記。柑橘ってすばらしい。)

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