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先端技術を活用して、“人間中心の未来社会の実現”を――加賀市が「スマートシティ宣言」を発表

人間中心の未来社会の実現を――。

石川県の南西部に位置する加賀市が2020年3月に発表した「スマートシティ宣言」の基本理念には、このように書かれている。この基本理念には、行政や産業目線ではなく、市民の暮らしをより良いものにすることを第一に考え、先端技術を活用するという意味が込められている。

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▲出典:加賀市

今回の宣言にあたり、同市は「デジタルファースト~データ駆動型のまちづくり~」「クリエイティブ ~創造的なまちづくり~」「スマートシチズン ~市民との共創によるまちづくり~」という3つの戦略を策定した。

「デジタルファースト~データ駆動型のまちづくり~」 ~創造的なまちづくり~」では、市内手続きのワンスオンリー(1度入力した情報は2度入力しなくていいという考え方)の実現やキャッシュレスの推進が挙げられている。

「クリエイティブ ~創造的なまちづくり~」では、先端技術を活用した起業誘致やMaaSを活用したナイトタイムエコノミーの推進など。「スマートシチズン~市民との共創によるまちづくり~」はSTEAM教育の強化や働き方改革SDGsの推進などを具体的な取り組みとして紹介した。

3つの戦略の詳細の他、運営の5原則など、詳細はこちらにまとまっている。

先端技術で、“消滅可能性都市”からの脱却を目指す

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加賀市の人口は約6万5000人(2020年4月1日時点)。観光業や伝統工芸品が盛んで、全国有数の温泉地だが、2014年5月に石川県で唯一の「消滅可能性都市」に指定されるなど、他の地域と同様に「少子化」や「転出超過」による人口減少の課題に直面しているという※)。

※)消滅可能性都市:2010年から2040年にかけて20~39歳の女性の数が5割以下に減少すると推計される自治体。日本創成会議が指摘した。

こうした課題に対して、同市は先端技術を活用したまちづくりを積極的に進めてきた。2018年3月には「ブロックチェーン都市宣言」を発表。スマートバリューとシビラと連携し、電子自治体の推進を掲げた。

また、2019年12月にはエストニアと日本に拠点を置くblockhive(ブロックハイブ)と協定を締結している。デジタル上の身分証として活用できるIDカードが普及し、99%の行政データ手続きをデジタル化したエストニア。このエストニアの取り組みが加賀市は今後のカギになると考え、デジタルID領域での実績を持ち、エストニアに拠点を持つblockhiveと協定を締結し、行政サービスのデジタル化を加速させていくことを決めたのだ。

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▲デジタルIDによる行政サービスの変化 出典:加賀市

2020年1月にトヨタが発表した「WovenCity(ウーブン・シティ)」も話題となったが、全国各地でスマートシティに関する取り組みが進んでいる。国土交通省が同年4月にスマートシティの先行プロジェクトを発表しており、茨城県つくば市や島根県益田市など計15地域が実施地区として選ばれた。

各モデル地区のプロジェクト詳細は、こちらから確認することができる。

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(執筆:金田みほ、編集:庄司智昭)

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