母から受け継いだファッション力:1
ファッションやSDGsを語る前にまず、私がなぜファッション好きになったか、というのを紐解いていこうと思います。
ズバリ、”母の影響力”の一言に尽きるのではないでしょうか。
私の母は5人兄妹の2番目、下に妹3人が居ます。
そうかそうよね、4姉妹ともなるとお洒落に花が咲いたよねきっと
と想像しがちですが、よくよく話を聞いてみるとそうでもないらしい。
現に抜群のセンスを持ち合わせているのは正直言って母だけ。
はて、何故我が母はそこまでお洒落さんになったのか。
決して裕福ではない家庭で育ち、祖父の職業柄、転校ばかりの学生生活。
制服も最初に通った学校のものを着たり、譲ってもらったり。
社会人となって得た給料の大半を、洋服につぎ込んだというから
きっと好きな物もろくに買えずに送った日々の反動なんだろうと想像します。
当時は今と違って、店で仕立ててもらうのが普通だった時代で
御用達にしていたお店に給料が出てはオーダーしていたとか。
そのデザインセンスたるや!
ん?何故分かるのかって?
その洋服の一部はまだ手元にあって、私が着ているのです。
ざっと計算しても50年以上経っていますが、現役で活躍しています。
今着ていても古臭さを全く感じさせないのです。
そして何より丈夫。生地の大半は当時勤めていた会社の社長・副社長から
頂いたというイタリア製のものがほとんど。
なので色合いも絶妙で、派手過ぎないけどぱっと目を惹くものばかり。
今でこそ巷にあふれていますが、ジャージー素材のワンピースとか。
総レースのワンピースなどなど。
勤めていたその会社は、今も現存している大手の会社ですが
地方の一企業にもかかわらず
話を聞く限りではそのお二人もなかなかのセンスの持ち主で
その方たちの影響と、当時のデザインブックと
縫製の良さがバチンと相まって今でも現役なんだと実感しています。
現代は手ごろな価格でもそれなりの品物が手に入りますが
ここまで長持ち出来るものって、ない気がします。
生地の良し悪しもそうですし、何よりやはり作りが違う。
ロックミシンでガーッと、なんてものは一つもありません。
袋縫い・パイピング(手縫い)は当たり前であったりします。
(オーダーなので当然といえば当然かもしれませんが)
そんな思い出話を洋服と共にイキイキと語ってくれている母は
本当に根っからのファッション好きなんだなぁと。
勿論、彼女自身も勤めながら縫製学校に通い
スーツから浴衣まで縫える実力の持ち主でもあり
祖父母や妹たちの洋服を作っていたらしいですし
幼い頃の私や弟の服も、お揃いの生地で沢山作ってくれていました。
アルバムを見返すと、そのどれもがいわゆるスタンダードな
かといって地味でもなく、シンプルだけどお洒落な恰好ばかり。
決して裕福ではない我が家ですが、ペラペラなものではなく
きちんとしたものを安く手に入れてくれていたりと
色々工夫を凝らして私たちきょうだいに”コーディネートの楽しさ”
を学ばせてくれていたんだなぁと感じています。