アシュラ2019 ~虹村夏惠編~

~元ネタ~
平熱43度 Relation vol.2
アシュラ

スピンオフパロディ 「虹村夏惠」

この投稿は平熱43度ファンのいち個人として
投稿する舞台のスピンオフパロディです。

新生人種。
どれだけ研究を重ねても人体に遺伝子レベルで
干渉されては手が出ない。全ての新生人種の
遺伝子を書き換えればとは思うが遺伝子とは
人体を構成する根幹。しかもどれだけの遺伝子が
変異しているのか調べる事など可能なのか。
また、それらを書き換える手段は、、、。

考え方を変えてみよう。
以前出会った月舘紗来は非常に優秀な個体だった。もっと研究したい欲にも駆られたが、
彼女と話をするうちにその気持ちは霧散する。
三沢君人と同じように、モルモットにするのか。
また同じ事を繰り返すのか。
研究者とは残酷な職だなとつくづく感じる。

他者の命、体、精神をもてあそび
使えなくなったら棄てる。次へ、また次へ。
そして研究が完成を見る頃にはどれだけの
犠牲者がいることか。
私は「神」か?否、ただのヒトである。
月舘紗季、彼女は言った。
「ただ、そばにいて笑ってくれるんです。」
私もまだ笑えるのだと気付く。

新生人種が更に進化を重ねたら人類は史上
稀に見る超人類へと辿り着くのではないか。
だとすれば抑えるより解放へと切り替えるべきか。しかし現生人種にとって新生人種は認められない
存在。どちらか一方しか生き残る事は許されない。

現生人種が生き残る道は
新生人種の駆逐しかないのか。

ここの所、研究は全くと言っていいほど
進歩をしていない。一時的に能力を抑える薬は
出来たが効果限定的だ。まて、一時的にでは
あるが効く薬はある。
ならば使い方の問題ではないのか。

「これはもしかしたら、今日と言う日が
シンギュラリティなのかもしれないわね。」

収用施設での限定的な範囲での効果は
実験することが出来た。あとは実戦。
戦場でどう使うか。

おりしも東京近郊では長雨による洪水被害が
テレビのニュースを賑わせている。

「雨か。雨、、、。雨!!」

私はありとあらゆるコネを使い作戦を立案する。

「東京に薬の雨を降らせる。」

私の作戦は予想を越える成果をみせる。
それは同時に多くの新生人種の命を奪う
結果となり、多くの新生人種、その予備郡。
果ては現生人種までもを殺した。
そう、私が殺したのである。

研究者とは実戦に出る事もなく、
多くのヒトの命を自由に出来るものだという事を
痛感する。

私はただ救いたかった。
いつからだろう、 研究と言う名の元に数値を
追い求め、結果を追い求めるようになったのは。

たった一人。たった一人を救えなかった事が
多くの命を奪う事になるとは。
私の手には護身用にと持たされているものがある。簡単だ。指をかけ引き金を引けばいい。

東京で効果のあった私の立案した作戦は全国へ
広がりを見せ、更なる命を奪っていく。
これが世界規模で展開されたなら。
私は悪魔とでも言われるのだろう

「ただそばにいて、笑っていれば良かったのかな。」

私は手に握られたそれを額に当て
静かに引き金を引いた。


~虹村夏惠 終~

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