アシュラ2019 ~伊丸岡 哲夫編~

~元ネタ~
平熱43度 Relation vol.2
アシュラ

スピンオフパロディ 「伊丸岡哲夫編 」

この投稿は平熱43度ファンのいち個人として
投稿する舞台のスピンオフパロディです。

ここ東京を中心に発生している
新生人種達による事件。
テロ行為以外にもそれら新生人種が
関わっていると思われる事件は多数存在する。

東京はどうなってしまったのだ。
テレビは新生人種排斥論を展開し
各地に収用施設なるものまで多数建設されている。

そんなテレビを横目に煙草に火を、、、。
「ここ、禁煙ですよ。」
「あぁ、悪いな。」
火をつけ損なった煙草を戻し
新生人種がと訴えるテレビの部屋を出る。
「新山、どう思う?」
「新生人種ですか?」
「あぁ。」
「さぁ?相手は子供ですよね。」

そう、相手は子供なのだ。

相手は子供。
その油断が命のやり取りの現場では
命取りになる。

街をぶらつきながら少しの警戒心を
持って歩いていると子供に目が行く
自分に嫌気がする。

「けっ。」

喫煙スペースと呼ぶには程遠い、
簡素な喫煙所。
ここでも住人の感心は新生人種にあるようで
居心地が悪い。

「帰るか。」
宿舎に戻ろうとしたその時、
携帯している端末の呼び出し音が静かに響く。

「あぁ、分かったよ」
来た道を引き返し、
悪態を付きながら向かう先は
所属する部隊の待機所。

「煙草、買っておくか。」

自身が待機所へ戻って数分の後、
部隊のメンバーが集結。
今回の任務についての説明を受ける。
いつもの光景。
いつも通りに武器の点検を済ませると、
移動が始まる。
ここからは非日常。
しかし、それは一般において、だ。
我々の任務では極当たり前の光景。

「酷いな。」

任務を開始するとそんな言葉が
思わず口に出る。
凄惨な現場。
幾度となく目にして来た光景がそこにはある。

はずだった。そこには在るはずの
ものが全くない。

「どういうことだ?」

凄惨な現場も、鼻に付く独特な臭いも何もない。
そこには、何かがあったその痕跡だけがあった。

「どういうことだ!!」

状況を報告後、下された命令は
帰還 だった。
上官に食い下がっても的を得ない回答で
はぐらかされる。

「くそっ!」
煙草に火をつけようとするが
「隊長、ここ禁煙です。」
「あぁ、分かったよ新山!
お前は納得出来るか?!」

納得出来るか出来ないかではない。
納得するしかないのだ。

森山から休暇を言われ、
持て余す時間。

テレビは相変わらず新生人種排斥論を繰り返し、
ニュースは事件、事故を告げている。

「新山が、死にました。」
榊秋生からの連絡があったのは
翌日未明の事だった。

新山奈緒が死んだ。
この事は、自身にとって転機となった。
榊秋夫に後の事は託し街を出る。

「ふぅ~。」
と煙草に火を付けひと息。

「東京はもう終わりだな。」

~伊丸岡哲夫 終~

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