見出し画像

かつて那覇市首里に存在した市内線専用のバス停

沖縄県那覇市には、那覇市内線専用および那覇市外線専用のバス停が存在する。具体的には国際通りにあるバス停のことであり、「てんぶす前」「松尾一丁目」の2バス停は市内線専用、「牧志」「松尾」の2バス停は市外線専用のバス停となっている。
2024年2月現在はこの4バス停のみとなっているが、かつては那覇市首里にも1ヶ所だけ、市内線しか停車しない市内線専用バス停が設置されていた。


市内線専用だったプール入口バス停

市内線専用バス停は、那覇市首里桃原町に設置されていたプール入口バス停である。
地図で示すと以下である。現在の桃原バス停(下り:儀保向け)の近くに立地していた。

バス停名である「プール」とは、1952年6月に竣工され、1994年10月に廃止された「首里プール」のことである。廃止されてから約30年が経過していることもあり、首里プールの跡地は完全に住宅街となってしまったが、この首里プールから約200mほど北上し、県道28号線に出たところに、プール入口バス停が設置されていた。

首里プールとプール入口バス停 1993/08/29撮影
(国土地理院の空中写真【OKC931-C49-12】を筆者が加工)

桃原バス停とは約100mの距離

首里プールへのアクセスに主眼を置いた立地であったが、それゆえに前後のバス停との間隔はかなりいびつであった。
1つ前の山川バス停との距離は約600mであるのに対し、プール入口の次の桃原バス停との距離は約100mとかなりの至近距離であった$${^1}$$。

プール入口バス停と前後のバス停の位置関係
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

この短区間で2つのバス停に停車することは非効率と判断されたのか、桃原バス停は全バス路線が停車するのに対し、プール入口は那覇市内線のみが停車するバス停となっていた。なお、市内線専用だった1977年3月14日当時、桃原バス停に停車する那覇市外線は、25番・石川線、26番・屋慶名線、46番・西原線の3路線で、46番以外は那覇市からうるま市へ向かう長距離路線であった。

バス停位置と名称が変更・市外線も停車

前述の通り首里プールは1994年10月に廃止され、その後、以下の変更が実施された。なお、これらの変更は、1993年11月$${^2}$$~1998年5月$${^3}$$の間に実施されたことは確実なのだが、その順番や実施時期の詳細については不明である。
① プール入口バス停が山川寄りに移設。
② プール入口から山川二丁目に改称。
③ プール入口バス停 or 山川二丁目バス停に市外線も停車。
④ 桃原バス停(下り:儀保向け)が山川寄りに移設。
これらの変更を地図に落とすと以下のようになる。

バス停位置と名称の変更内容
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

なお、この名残はバス停標柱にも残っており、現在の桃原バス停(下り:儀保向け)の標柱は、かつて近くに設置されていたであろう旧・プール入口バス停の標柱が流用されており、バス停名を書き換えられた跡が残っている。

バス停標柱の流用?
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

厳密には・・・

ここからはプール入口とは関係ない話となる。

冒頭で「てんぶす前」「松尾一丁目」の2バス停は市内線専用と書いたが、市外線である101番・平和台安謝線が停車する。101番・平和台安謝線は、1986年ごろに、市内線であった10番・安謝線と市外線であった101番・平和台団地線が統合し誕生した路線であるが、那覇市外を経由する市外線となるためか、101番が10番を吸収する形となっている(系統番号10番の路線は消滅)。ただし、国際通り内の停車バス停だけは、市内線であった10番を引き継いでいるため、あべこべな状態となっている。

なお、1983年1月6日~2009年3月22日の間は、15番・寒川線は市外線扱いであったにもかかわらず、「てんぶす前」「松尾一丁目」に停車していた(2009年3月23日以降は経路は変わらず市内線扱いに変更)。

脚注

  1. 運賃及び粁程表 昭和52年3月14日改定(1977年 沖縄県バス協会発行)

  2. 運賃及び粁程表 平成5年11月1日改定(1993年11月 沖縄県バス協会発行)

  3. 運賃及び粁程表 平成10年6月1日改定(1998年6月 沖縄県バス協会発行)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?