支援事例「経営が危機的状態に」

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令和 2 年 3 月 1 日(日曜日)沖縄タイムス 経済面掲載

資金の流れ 表で可視化

 ◆ 企業名 S社
 ◆ 業 種 土木業
 ◆ 所在地 宮古島市
 ◆ 資本金 非公開
 ◆ 創 業 非公開
 ◆ 従業員 13人

【相談】
 貯金を崩して運転資金の返済にあててきたが、そろそろ限界で、倒産を意識している。夫からは会社を存続していく意思を確認できず、精神的にも追い詰められており、資金繰りを改善していくべきか悩んでいる。

【回答】
 S社は長年、大手企業の下請け工事を手掛けているが、大手が提示する人工(人件費)は一方的で交渉ができず、利益もほとんど残らない状態にあった。
特に規模が大きい工事の期間は手元資金が手薄となり、金融機関から短期借り入れでしのいできた。しかし今回は金融機関の対応にスピード感がなく、会社の存続が危ぶまれていた。
 経営者は2代目で50代前半ということから、転職して負債を完済することも視野に入れなから、相談では相手の生き方にも触れていった。
 ただ、話を聞いてくと、S社は勤続年数が20年を越える従業員が複数おり、働きがいを感じられる社風も確立されているという。経営者も現在の職業に生きがいを感じていることから、経営改善の道を選択した。
 S社の場合、資金の流れをコントロールできていないことが原因なので、資産を売却する方法と、金融機関などから融資を受けて資金調達する2つの方法を提案した。金融機関からは資金繰り表を求められていなかったが、直近の請負契約書をもとに受注業務を一覧化した。
 資金繰り表を年間でみると、資材価格などの高騰で、利益を確保できていないことが可視化できた。このことで何を改善していくべきか判断ができるようになり、金融機関との交渉で毎月の返済を半年間猶予してもらい、資金繰りが一時的に改善した。また、元請けに依存しない経営体質を目指すため、経営指針書を作成し、定期的にPDCAを回していくことにした。
 半年ぶりの近況報告で、よろず支援拠点をご夫婦訪ねてこられた経営者は、「人員の大幅な流出もあったが、現在は資金繰りも安定し、精神的にも落ち着いた経営ができている」と笑顔で報告してくれた。
 経営改善はまだ道半ばではあるが、危機的な経営状況から脱し、経営改善の実現に向けて一歩を踏み出したS社にこれからも寄り添っていく
(県よろず支援拠点コーディネーター・砂川淳一

詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e11461634.html

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