支援事例「事業承継後の資金調達に苦慮」

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令和 2 年 2 月 23 日(日曜日)沖縄タイムス 経済面掲載

国の支援施策を生かす

 ◆ 企業名 C社
 ◆ 業 種 製造業
 ◆ 所在地 本島南部
 ◆ 資本金 非公表
 ◆ 創 業 非公表
 ◆ 従業員 12人


【相談】
 父が経営していた事業を7年前に承継したが、多くの負債も同時に引き継いだため、当初から厳しい経営状態にあった。当時の消費税や社会保険料の滞納がいまだにあるため、資金調達ができずに困っている。

【回答】
 相談者によれば、承継後の数年間は苦戦したものの、地道な営業活動と経費削減で、直近の2期はわずかながらも黒字を計上した。取引先との信頼関係ができて、引き合いも増えている一方、経営不振の時の消費税や社会保険料の滞納が残っているため、取引金融機関からの信用回復には至っていない。今後の事業展開には明るい見通しがあるものの、前向きな資金調達が図れず、今回の相談に来られた。
 業務フロー図を作成しながら、決算資料に目を通した。作業工程の一部を内製化できれば、外注コストの削減、品質向上、納期短縮が図られ、収益力と競争力が飛躍的に高まると読み取れた。ただし、新たな機械導入と作業所移転、作業員の増員が必要となる。それに加え、資金繰りの根本的改善のためにも消費税などの負債整理は避けられない。合算すると、新たに2千万円程度の資金が必要であった。
 相談者には、機械導入を前提に経営改善計画書を作成することを提案した。今後の行動計画と改善効果を具体的な数字で示す必要がある。経営改善に精通した認定支援機関の外部専門家にも加わってもらって計画を策定する場合、策定費用の3分の2の補助が受けられる経営改善支援センターを活用することもアドバイスした。
 さらに、

  1.設備導入の際の税制優遇措置
  2.政府系金融機関の低利融資
  3.信用保証協会の別枠保証

 ―を活用するため、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を提案し、その手続きをサポートした。約4カ月後にはこれらの作業が完了し、政府系金融機関と取引金融機関の協調による新規融資を受けることができ、税金対策も一定のめどがついた。
 1年後のフォローアップでは、直近3カ月間の平均売上高が前年比1・8倍へ増大していることが確認でき、一安心。キャッシュフローも増大しており、これなら金融機関への返済も問題ない。営業戦略面でまだ課題は残るが、顧問税理士とも連携を取りながらサポートを継続している。
(県よろず支援拠点コーディネーター・大城剛


詳しくは >> https://yorozu.ti-da.net/e11445938.html

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