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支援事例「事業承継でやるべきことは?」

知的資産の見える化を

◆ 企業名 B社
◆ 業 種 製造業
◆ 所在地 本島中部
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 非公表
◆ 従業員 18人

【相談】
 代表者は65歳。本土で就職する長男への事業承継を予定しており、息子の了承も得ている。顧問税理士とは株式や財産の分配についてこれから相談する予定だが、そのほか何に着手するべきかアドバイスがほしい。

【回答】
 相談者は15年間の本土での修行を経て25年前に当社を設立し、仕事一筋で頑張ってきた。まじめで思いやりがある人柄で、取引先からの信頼も厚く、黒字経営を続けている。その一方で、ここ数年は体力的な衰えを感じているため、自身が70歳でリタイアできるよう後継者の息子を育成することを計画中だ。事業承継関連のセミナーに何度か参加した経験もあるため、承継に向けた早めの準備の必要性を認識している。
 事業承継と聞くと、一般的に株や事業用資産の移転時に生じる相続税対策だと思われがちだが、実は相続税対策は事業承継の一部に過ぎない。
 国が実施したにアンケート調査によれば、現経営者が先代から事業を引き継いだ際に苦労した点について、「経営力の発揮」「取引先との関係維持」「一般従業員との関係の維持」との回答が上位にきている。これらは知的資産と呼ばれるもので、例えば技術力、ブランド、経営理念などもそれに該当する。
 数字には表れない目に見えにくい資源である。実は会社の「競争力の源泉」はこのような目に見えにくい部分にあることが多い。そのため、後継者が経営をしっかりとした形で承継していくためには、まずこの見えにくい資産を把握することが大事である。
 いわゆる知的資産の棚卸(見える化)と呼ばれるもので、自社の強み抽出しつつ、弱みを知る作業である。当社にとって当たり前すぎて普段は気づかないことも、大きな強みとなっていることが多々あるため注意が必要だ。
 また、この作業を行うに当たっては、現経営者と後継者が共同で取り組むことが重要だ。なぜならその過程において「経営の承継」のみならず、経営の磨き上げに必要な課題も共有できるからである。
 後継者は、把握した知的資産の状況に基づいて、強みを継承し、弱みを補うための行動計画を検討し、スケジューリングすることで、承継と合わせて業績の向上につなげる取組みが可能となる。相談者にはこうした点をご理解いただいた上、来月帰省する息子のスケジュールに合わせて、棚卸のサポートに入ることにした。
(県よろず支援拠点コーディネーター・大城剛)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点、電話098(851)8460。または地元の商工会にお問い合わせください。

沖縄県事業承継ネットワーク
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