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支援事例「小売り店30年 急速に経営悪化」

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令和 2 年 11 月 22 日 沖縄タイムス経済面掲載

廃業は次へのステージ

 ◆ 企業名 非公表
 ◆ 業 種 小売業
 ◆ 所在地 非公表
 ◆ 資本金 個人事業
 ◆ 創 業 70年以上
 ◆ 従業員 2人

【相談】
 約30年間、地域に根差して小さなスーパーを続けてきた。近隣に大型スーパーやコンビニエンスストアが立て続けにオープンし、経営が急速に悪化している。実は今月の電気代も払うあてがない。

【回答】
 「今月の電気代も払えない」という相談から始まった。かなり深刻な状態であると受け止めて、4つのポイントに重点を置いて聞き取りを開始した。まず1.月間の売り上げ2.借入金をはじめ債務の全体状況3.現在の資金繰り4.金融機関との関係―などを確認した。慢性的な赤字経営の状態で、すでに現金が尽きかけている。高齢な経営者夫妻の生活自体が窮しており、対応を急がなければならない。
 次の3つに取り掛かるよう助言した。最初に金融機関への連絡と相談をする事を勧めた。金融機関からの協力の有無が今後を左右するためである。二つ目に全ての支払いを一時的に止め、手元資金を確保する事が必要である。無一文になって身動きが取れなくなる事を避けるのが目的である。三つ目に所有資産で現金化できる物の確認をすることである。
 相談当初は経営改善に向け検討していた。しかし店舗の経営環境や債務状況だけでなく、経営者が高齢で後継者が不在であることも考慮し、経営再建は困難だと判断。最終的には廃業に向けた動きへ切り替える事を相談者に理解していただいた。
 一方で、店舗兼住宅に資産価値があると判断。資産を処理し債務を整理した後に現金が一部残る見込みがあり、廃業に向けた支援として1.金融機関への説明と協力依頼2.売却資産の選定と売却3.廃業後の相談者夫妻の生活設計4.廃業行動計画の策定―などに取りかかった。
 不動産売却に時間がかかり、廃業への取り組みを始めてから1年半程掛かって廃業する事ができた。相談者の生活設計についても何回も作り直した。想定外の税金問題も浮上、元々同店舗は再開発での立ち退きを受けて建て替えられている関係で、多く税金を支払う必要があったのだ。
 相談者は現在、新しい住まいで新たな生活を始めている。廃業は終わりでない。次のステージの始まりだと相談者に教わった。
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。
(県よろず支援拠点コーディネーター・赤嶺輝昌

※廃業は想定外の事が多く起こります。一人で悩まずに沖縄県よろず支援拠点へご相談下さい。問い合わせや相談は同支援拠点、電話098(851)8460。またはお近くの商工会へお問い合わせください。

詳しくは >> https://yorozu.ti-da.net/e11744968.html

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