琉球新報への寄稿①<エネルギー変革について>
新聞にコラムを寄稿しました
去った2022年8月27日ですが琉球新報の「明日からできるわたしの一歩」というコラムを担当させていただきました。
琉球新報さんの取り組みである、Okinawa SDGs Projectの特集の一部という位置付けでしたが、この文脈でエネルギーが取り上げられることは滅多にないので、琉球新報さん・繋いでいただいた石垣さんには感謝しかありません。
さて、この投稿では少し寄稿した内容を掘り下げて書いてみたいともいます。
エネルギー変革ってそもそも何?
見出しに「エネルギー変革」と書きましたが、これは「沖縄のエネルギーにはドラスティックでもっと大胆な変化が今必要とされている」という意味です。
また、敢えて「革命」という言葉を使わなかったことにも意味があります。
「革命」とすると既存権益vs新興勢力のような対立構造を思い浮かべてしまうと思うのですが、エネルギーでの対立構造はあまり望ましくありません。
詳細は後述しますが、むしろライバル関係も含めて「研ぎ合う」関係と、皆で大きな変化を起こしていく潮流づくりの方が大切になっています。
エネルギー変革の必要性
気候変動への対応
昨今では気候変動という言葉をほとんど毎日ニュースで見るようになりましたが、この現象は既に長い間議論されています。
目につくようになったのは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が気候変動についてより強い報告がされてきたことも一つの影響かと思います。
2008年には温暖化の影響を「疑う余地はない」との強めの表現が注目を集めたのですが、2021年に出された報告書では温暖化に人間活動が及ぼす影響について、「人間の影響が大気・海洋及び陸域を温暖化させてきたことには、疑う余地がない。」と書かれたことは大きなインパクトがありました。
そこで、気候変動の主な原因である二酸化炭素を最も排出しているエネルギー分野が注目されているのです。
本当の必要性は「自給率」
実は気候変動についてお気づきの通り、沖縄が与える影響はとても微々たるものです。むしろ、日本の影響も小さいくらいなのですから。とはいえ、小さな取り組みの集合体が大きな取り組みとなるわけですから、沖縄でも例外なく取り組みが必要です。
しかし、それよりも沖縄にとって喫緊の課題が「エネルギー自給率」だと私は考えています。
沖縄の「エネルギー自給率改善」のためにこそ、エネルギー変革が求められていると私は思います。
エネルギー自給率の現状
現在2.7%
沖縄県のエネルギー自給率は2019年時点で2.7%という統計が出ています。
ということは、沖縄県で使われるエネルギーの97.3%は県外そして海外からの輸入に頼っていることになります。
日本全体では12.1%となっているのですから、国内でもかなり低いことがわかります。
また、他都道府県の自給率は仮に低くても隣接する県からの調達が可能ですので、現実的には沖縄の2.7%数字は国内でも突出した低さとも言えるかもしれません。
自給率が低いってまずいの?
ここで、「日本・沖縄という地域の特性上、他国と仲良くしながらやっていくことが重要じゃないの?」という声が聞こえてきます。(私の心の中)
仰る通りですよね!
「自分のものは自分で全部賄う」って聞こえはいいですけど、見方によっては超個人主義というか孤立的な面もあると思います。
とはいえ、エネルギーは嗜好品とは異なり人々の生活への影響が非常に大きいのは事実です。
「万が一に備える」ことは貯金をすること同様に、エネルギー観点からも非常に大切です。
今後の社会で起こり得るのは「エネルギーの枯渇」「エネルギー価格の高騰」だったりします。そして、自給率が低いとそれらへの備えがかなり限られてくるということです。
「安心して暮らせる社会」を自給率から考える
ここでお伝えしたいのは、良し悪しの判断ではなく、どうすればより良い未来を作れるかです。
安心して暮らせる社会というのは、生活の中に「明るい未来への期待感」+「安心できる=リスクを上手に扱えている現状」があることだと思います。
エネルギー自給率改善で全てが解決する話ではないのですが、「自給率が今のように著しく低いままでは安心できない状況である」ということは言えるのではないかと思います。
エネルギー自給率が低いことで何が起こり得るのか
なぜ沖縄の自給率は低い状況が続いているのか
沖縄のエネルギー自給率はどう改善できるのか
について今後数回に分けて、投稿していきたいと思います。