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No.351 たいそうよいことです(TYK?)

 「伸ばす・縮める」、「屈む・立つ」、「開く・閉じる」、「上げる・おろす」、「仰向く・俯く」、「広げる・狭める」、「丸める(曲げる)・反らす」、「捩じる、戻す」このほかにも、「回す」、「振る」、「飛ぶ」、「突き上げる」、「緩める」、「叩く」、「足踏む」、「蹴る」ほか、たくさんの動作を緩急付けながら行うのが「ラジオ体操」「テレビ体操」です。そして、動きに合わせながら、肺や腹に息を吸いこんたり(大きく、小さく)、吐いたり(長く、短く)、止めたりしてリズムよく身体を整えます。そんな体操を、定年退職後の毎朝6時25分から行っています。

 10分間ほどの体操ですが、指導者の先生方の個性が生きる前フリの準備体操が面白く、特に若い指導者の複合的で少し難度の高い予備運動は、毎回「挑戦」の気持ちで臨んでいます。うまくいかなかったり、間違えたりしながら、一人笑いも同伴しています。

 短い体操時間ですが、効果はてきめんで、「身体が軽くなった感じ」や「背筋がシャキーンと伸びた感じ」が、その後の朝のルーティーンである愛犬との散歩で実感されます。何か、息を吹き返すと言うか、リセットされたというか、清々しい気分になるのです。また、木曜日はラジオ体操第一と第二の合わせ技の日で、身体をねじったり、かがんだり、飛び跳ねたりするうちにお通じへの効き目も実感しているところです

 「ピンピンコロリ」(略してPPK)とは、健康寿命の長さを言い表した言葉だそうで
 「病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝付かずにコロリと死ぬこと、または、そのように死のう」
という標語だそうです。1980年(昭和55年)、長野県下伊那郡高森町で、北沢豊治という人が、健康長寿体操を考案し1983年、日本体育学会に「ピンピンコロリ(PPK)運動について」と題し発表したのが始まりだといいます。

 2013年(平成25年)の「第13回シルバー川柳」で、

「お迎えは何時でも良いが今日は厭」

ペンネーム千両さん(神奈川県在住。当時、84歳)の気持ちが痛いくらいによくわかります。明日のことすら誰にもわからないのが、我々の宿命です。思っても祈っても詮無い事かも知れませんが、PPKで逝けるものなら逝きたいものだと…。

 「年取ってきたら、あれやな。ピンコロリンリンが理想やなあ。」
 何日か前の、ツイッターだったか、ユーチューブだったか、あるお婆ちゃんの名言に恐れ入りました。単なる言い間違えか、記憶違いなのでしょうか?それとも「ピンピンコロリ」を下敷きにした秋の創作言葉の味付けだったのでしょうか?「ピンコロリンリン」と言われると、「勇気凛々」な言葉の響きがあり、彼岸に可愛らしく凱旋してゆくような語感も楽しめ、肩の力が抜けて思わず笑顔になれるのです。

 「私、元気という病気なのよ。」
 そう言って周囲を笑わせたのは、京都市内の病院で11月9日に99歳で亡くなられた寂聴こと瀬戸内晴美さん、(いや、瀬戸内晴美こと寂聴さんか?)です。多くの信者に笑いと涙と教えと癒しを伝導された方でもあります。2010年(平成22年)に脊椎を圧迫骨折、2014年2度目の圧迫骨折治療中の検査で胆嚢がんが発見されましたが、92歳にして手術は成功。しかし、老いによる心不全を避けることは、遂にできませんでした。彼女は、言うのです。 

 「切(せつ)とは
  切っても切れないこと、
  つまりしていることになりきること。
  食べるにも切、
  眠るにも切、
  愛するにも切、
  学ぶにも切、
  今日生きることにも切、ということ。
  一瞬一瞬、切に生きれば、
  やがて来る死におびえたり、
  やがて来るかもしれない別れに、
  取り越し苦労する間がありません。
  切に生ききっていれば、
  次の瞬間、
  死に襲われても悔いがない。」

 そんな達観は、私に無理だとしても、心意気だけは忘れずにいたいと思います。寂聴さんが、私にも遺してくれた言葉だと思って。