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No.1179 めくっていただきたく

「父さん、FC町田ゼルビアの黒田監督、知ってる?」
1週間ほど前、上京した時に泊めてもらった埼玉の息子宅でのこと、その昔サッカー少年だった彼からそんな質問をされました。
 
黒田剛(ごう)監督(1970年5月26日~)といえば、長くサッカーの名門・青森山田高校を率いた監督でしたが、2023年からJ2だったFC町田ゼルビアの監督に転身し、その年にみごとJ1に昇格させた奇跡の人です。
 
青森山田高等学校での戦歴は、
全国高校総合体育大会(インターハイ)サッカー大会優勝2回(2005年、2021年)
高円宮杯U-18 サッカープレミアムリーグ優勝3回(2016年、2019年、2021年)
全国高校サッカー選手権大会優勝3回(2016年、2018年、2021年)
また、FC町田ゼルビアを就任1年目で
J2リーグ優勝1回(2023年)
に導いた名将の一人です。
青森山田高校監督時代から「ロングスロー」を多用した戦術を展開し、全国優勝に輝きました。昨年、高校生クラブの指導者から社会人クラブチームへの監督に活動の場を変えました。無謀と思われましたが、FC町田ゼルビアを11年越しにJ2からJ1優勝の悲願達成に導いたのですから、いい意味で大方の予想を裏切りました。
 
もちろん、ロングスローだけで勝てるわけがなく、ヘッドコーチの招聘、戦力の大幅な補強による戦術の充実、チームの熱烈なファンの支援、そして、11年間かけて次第に出来上がったチームの土壌づくりなどがうまく連動し機能し功を奏して最大限の結果をもたらし、花開いたのだと想像します。
 
そのFC町田ゼルビアの黒田監督はロングスローの攻撃をこう語っています。
「相手は推測ができない、予定できない、GKもディフェンスもポジションが取りにくいという錯乱をさせるためには投げられるのなら極力投げたほうがいい。CKを蹴るのと同じように、リスタートとして処理するにすごく難しいものになってくる。ライナー性のボールが来るのか、短いのが来てフリックされるのか、ゴールムーブで一気に飛んでくるかも全く分からないので、守るほうとしてはすごく難しい」  
 
さらに、監督は守備面でもロングスローが効果的だと説明しています。
「相手の攻撃陣がみんなゴール前に帰陣することも1つ。そうすることで相手のカウンターを受けずに済む。相手の攻め残りしている選手を1回相手のゴール前に戻す作業にも繋がってくるので、ロングスローは攻撃のセッションだけど、守備においても有効性が高いという考え方もできる」  
 
また、
「スローインの1番いいのはオフサイドがないということ。普通にフリーキック(FK)を蹴るよりも、もしかしたらより有効性がある」
とも語っていました。その戦術に批判的な意見もあるようですが、名将の鷹の眼に敬服する一人です。
 
その昔、いろは出版から『先生の夢 47都道府県47人の先生の夢』(2007年2月1日発行)という本が刊行されました。青森の先生の欄には、黒田剛先生が紹介されています。図書館でご覧ついでに、大分のページもめくってやってください。
 
「春一番めくれめくれと大騒ぎ」
「めくる」と言えば、その昔、むくつけき男子たちが、春を呼ぶ嵐の日に私の授業そっちのけで窓の外の光景を見ながらどよめきました。悔しかったので、駄句をひねりましたが、私の無能さが露見しただけでした。


※画像は、クリエイター・ハスつかさんの、タイトル「いまスタジアムに行くべき5つの理由」の1葉をかたじけなくしました。ゴールに喜ぶサポーターたちのJリーグの嬉しい瞬間を切り取ったものだそうです。お礼を申し上げます。