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No.1155 ゑい婆ちゃんの遺してくれたもの

隔世遺伝ってあるんですね!

私の祖母は小柄でしたが、太っていました。足腰が弱っていたので、なかなか痩せられません。畑仕事が出来なくなってからは、運動不足が追い打ちを掛けました。

昼食を済ますと、そのままそこにゴロリと横になり、いつしか昼寝をするのが日課でした。
夏などは薄い下着一枚でいるので、お相撲さんが横になったように、たっぷんたっぷんの贅肉が片方に寄っているのが見えました。

その婆ちゃんは、昼寝の途中、自分の鼾で目を覚ますという驚きの特技がありました。
「誰かえ?今んいびきは!」
といきなり目を覚まして周りを見、声を掛けます。60年近くも前の子どもの頃のことですが、何度笑わせてもらったか分かりません。

ところが、岩のように静かに眠ることを得意とした私でしたが、今や肥満度29(わが不満度92)の立派な「小太り爺さん」にヘンシンし、その体型から絞り出すような鼾は、ウシガエル君もドン引きしそうな大音声だそうです。

ちなみに、鼾の字源・語源については、こんな面白い記事がありました。

「息吹(いぶき)」という語があるため、「息」を「い」と読み、「息引き」「息響き」からとする説が最も多いようです。 また、漢字では鼻を干す、と書いて“いびき(鼾)”と書きます。 “漢字源”によればイビキの音が“干[ハン]”という音に似ているための擬声語らしく、特に深い意味はないようです。

出典:星の耳鼻咽喉科睡眠呼吸センター「鼾(いびき)を考える」より

私が祖母の血筋を正しく引いていることを、メンデル君は情け容赦なく教えてくれます。自分の鼾で目覚めるという兆候が、実は、四半世紀も前に始まっていたことをある日の学級通信で知りました。その祖母は、1979年(昭和54年)に77歳で幽明境を異にしたことを、実家の兄に確認しました。
 
「鼾とは、個人に許された最後の自由である。」
そうだとも!ユーモア辞典(?)の説明が思い出されました。私は独り、自由に鼻声(美声?)を奏でながら別室で寝ています。
 
こんな思い出でも、供養になるのでしょうか?
2月9日が、ゑい婆ちゃんの祥月命日でした。


※画像は、クリエイター・大藏達雄さんの、「ウグイスの声に季節を感じます。『あぁ春だなぁ』その嬉しさが、コロンと可愛い和菓子になりました。」と説明のある1葉をかたじけなくしました。お礼を申し上げます。