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No.1331 「俳句にわびあり バイクにさびあり」

清音と濁音を入れ替える言葉遊びがあります。
「世の中は、澄むと濁るの違いにて」で始まる狂歌の言葉遊びは、なかなか面白く、思わず唸ったり呆れたりしています。たとえば、
「世の中は、澄むと濁るの違いにて」 
  「足に味無し 鰺に足なし」
  「キスは好き好き 傷はズキズキ」
  「霧はうるわし 義理はうるさし」
  「苔に花なし 後家に花あり」
  「四四は十六 爺は六十」
  「墓は静かで バカはやかまし」
  「橋は架けるもの 恥はかくもの」
  「母に歯があり 婆に歯がなし」
  「旗はヒラヒラ 肌はチラチラ」
  「ハハは美容院 パパは病院」
「四四は十六 爺は六十」で、口角を上げてしまいました。コレの爺やは、71です。

そういえば、過去にいくつかの新聞のコラムでも取り上げられた人気の言葉遊びですが、「東京新聞」のコラム「筆洗」にも見つけました。ご一読くださいますよう。

 「世の中は澄むと濁るで大違い」と始まる言葉遊びがある。続く文句は「人がチャ(茶)を飲み、ヂャ(蛇)が人を飲む」や「フク(福)はトク(徳)なり、フグはドク(毒)なり」▼わずかな濁点のあるなしで意味がまったく違ってくる言葉のおもしろさ。有名なところでは、「ハケ(刷毛)に毛があり…」。やめておこう▼食べて、体調不良を訴える人が続出した「大麻グミ」の問題である。なんでも、大麻の規制の難しさはささいな濁点の違いを利用した、あの言葉遊びと似たところがあるらしい▼大麻の違法成分を規制しても、これに似た化合物がすぐ作られてしまう。同じ幻覚作用などがあってもあくまで別の化合物なので、規制はできなくなる。ならばとこれを規制しても、また、似た別の化合物が。いたちごっこが続く▼規制の難しさに加え、こうした成分がグミやチョコレートという気軽な食品に「化ける」のも問題だろう。大麻は、より依存度の高い覚醒剤などの薬物の入り口になりやすいが、手に取りやすい「大麻グミ」はその入り口のそのまた入り口になりかねない▼若いお方の好奇心は分からぬでもないが、体に障り、深い沼にひきずりこまれかねない薬物からは断じて身を遠ざけておきたい。あの言葉遊びならば「心身のタメ(為)にはならずダメ(駄目)にする」「カイ(快)どころかガイ(害)」だろう。

東京新聞コラム「筆洗」(2023年11月22日 )より

「清濁を映し千年秋の水」
 小林草山(1933年~)


※画像は、クリエイター・m3rdguitarさんの、タイトル「365」の1葉をかたじけなくしました。池に戯れる鴨の姿です。暦の上では8月7日に立秋となりました。