見出し画像

No.422 新聞のページに学び、考えた感染症

 1月29日の大分合同新聞の12~13ページには、「感染症と人類」の見出しで、感染症と闘ってきた人類の長い歴史を時間軸で追った一覧表が掲載されており、地図やレイアウトを添えながら平易に解説もされてあり、大変勉強になりました。直接的に理科や社会科の教材として有益な資料だと思います。

 人類と感染症の関わりの歴史は大変古く、例えば、紀元前2世紀より前のエジプトのミイラから天然痘に感染した痕跡が見られたといいます。人類の誕生よりもはるかに早くウイルスや細菌は存在していたでしょうから、「人類の誕生」は、換言すれば、「感染症との闘いの歴史の始まり」と言えそうです。

 ペストの第1次パンデミックは6世紀の頃で、推定3,000万人~5,000万人が死亡し、東ローマ帝国衰退の一因となったとまで言われます。第2次は、14世紀に中国で始まり、ヨーロッパでは「黒死病」と呼ばれました。中世ヨーロッパ人口の3分の1が死亡し、世界中で5億人以上の者が感染したそうで、まさに暗黒時代だったことでしょう。

 1817年~1923年にかけて全世界に伝染したコレラ、19世紀後半に米国や欧州に広がった黄熱病、1918年(大正7)年からのインフルエンザ(「スペイン風邪」「アジア風邪」「香港風邪」等)の大流行で、数百万人から数千万人の命が奪われたそうです。自然界からの感染症兵器です。

 一方、「人類の希望」ともいえるワクチンの開発や抗生物質の発見により、18世紀以降、感染症の予防や治療方法が急速に進歩していきます。1796年、イギリスの医師、エドワード・ジェンナーが人類初の天然痘のワクチンを開発しました。今日、人類が根絶できた唯一の感染症だそうです。その後も、さまざまなワクチンが誕生し、このような快挙が、感染症への脅威や不安を人々から拭い去ろうとしていた時期もあったそうです。

 ところが、1981年(昭和56年)にエイズが出現して世界に蔓延し、2002年(平成14年)から中国で猛威を振るったSARS、2007年(平成19年)以降、東南アジアや中南米で流行ったジカ熱、2014年(平成26年)以降、アフリカを席巻したエボラ熱、2015年から顕著となったMERS、そして、2019年(令和元年)に端を発した新型コロナ、更には、その進化急変を繰り返す変異株等々、とどまることを知らない感染症の進撃に、後追いを迫られている人類の苦悩と、大きな社会変革が続いています

 また、毎年のように鳥や家畜のインフルエンザが報告され、何万羽、何千匹という生き物たちが殺処分されています。動物たちにとっても、感染症の猛威は、我々人間と少しも変わりません。人類が、生きものとどう関わり、守っていけるかが問われています。

 ふと、ペットによる感染症の脅威はないのかと思い、調べてみました。「ズーノーシス」(Zoonosis=動物由来感染症)という言葉がありました。「脊椎動物と人間との間で自然に感染する病気の総称」のことだそうです。近年、ペット以上の存在、家族の一員として犬や猫は飼われています。ところが、WHOで確認されているだけでも150種類以上の動物由来感染症があるそうです。そのうちの3割は動物からヒトだけではなく、ヒトからヒトへと直接に感染するものもあるという事実を知りました。ペットを介して世界を巻き込むような大規模な感染症を引き起きないためにも、飼い主としては、定期的な検診や投薬や注射、食べ物の与え方ほか、しっかりとサポートし、最後まで責任をもって飼育・介護することの大切さを改めて考えさせられました。

 知識や学びは、生かされることで本領を発揮します。世界の共通語でありたいものだと思いました。