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No.1258 邂逅

「ググる」とは「ラ行五段動詞」で「グーグル(Google)」のサーチ(検索)エンジンを使って言葉や画像を探し出すこと」の略(俗?)語だそうです。私もググってみました。

第35回全国短歌フォーラムin塩尻(2021年9月25日発表)には、全国から「一般の部」2,527首、「学生の部」10,857首もの短歌が寄せられたそうです。それらの入賞作品には選者の講評が載せられていました。とてもゆかしく思われたのでご紹介します。
 
一般の部 最優秀賞
 佐佐木幸綱 選
リモートの「被服学基礎」三限目 提出課題は手作りマスク
長野市 松田 わこさん
【選者の講評】「リモート授業」そして「手作りマスク」。二年目に入ってすっかり日常化してしまったコロナ禍を、的確に作品化してみせたアイデアに感心しました。
 
 永田和宏 選
君の声聞こえなかった風のせい 聞き返せない君の目のせい
松本市 川端 いず美さん
【選者の講評】君の声が聞こえなかったのは風のせいだが、聞き返せなかったのは「君の目のせい」だという。見つめ合う若い恋人の震えるようなナイーブな感性が、つぶやきだけで鮮やかに切り取られた。木に登り梅取りをれば子を負ひし
 
 小島ゆかり 選
「風(ふう)」なんて名付けしばかりに大空へ 飛び立ちゆきしインコの風ちゃん
北海道稚内市 及川 文子さん
【選者の講評】「インコの風ちゃん」はその名のとおり風になったのだ。初句の口語と、「大空へ」からの上昇のリズムが歌を生かした。寂しさの一方で、どこか晴れ晴れとした一首。
 
どの評言も、平易で訴える力に優れた歌に誘発された選者の世界観の構築がみられ、選者柄(お人柄?)に溢れていることがうかがわれます。

そんな中、見覚えがあったのが「松田 わこ」さんでした。某新聞社の歌壇で、子どもの頃から素晴らしい歌を投句していた姉妹の妹さんです。たしか富山のご出身だと思っていましたが、長野で学生生活を送っておられるようです。

「地震の中で赤ちゃん産んだお母さん温かいシチュー届けてあげたい」
「すごい虹出てるよしかも二重だよ勉強してる場合じゃないよ」
「青じそのおいしさに気づいた私こうして人は大人になるんだ」
小学生のころから、彼女の豊かな感性は、大人の目尻を下げさせ感動させました。そんな彼女との、久々の思いがけない出会いがありました。
 
ググってみるって、いいもんですね!(その昔の映画評論家・水野晴郎さん風に)


※画像は、クリエイター・Tomoko.Sさんの、タイトル「緊急事態宣言:24日目 立体マスク」の1葉をかたじけなくしました。「手作りで立体マスクを作りました。」の説明も添えられてありました。お礼を申し上げます。