見出し画像

No.1227 はじける心

大分県玖珠町で毎年5月5日に開催される「日本童話祭」の一環として「全国児童生徒俳句大会」の表彰も行われています。
 
私が在職中、5年間生徒作品を応募しました。その「入賞・入選句集」5冊は今も保管してあります。今日は、5年間の久留島賞、文部科学大臣賞、朗人賞(選者:有馬朗人)、紘文賞(選者:倉田紘文)をそれぞれご紹介しましょう。素直な歌いぶりに、口角を上げ、目尻を下げて頂けたら幸いです。
 
2009年(平成21年)…14,187句
「第26回全国児童生徒俳句大会」
久留島賞
「見つめ合う二つならべた雪だるま」
(大分県・中学生・女子)
 
文部科学大臣賞
「からすの子タップダンスでのりのりだ」
(大分県・小学生・女子)
 
朗人賞
「資料館に響く時計や原爆忌」
(鹿児島県・高校生・女子)
 
紘文賞
「マフラーの色もとりどり吟行す」
(大分県・中学生・女子)
 
 
2010年(平成22年)…13,425句
「第27回全国児童生徒俳句大会」
久留島賞
「ウリボウがとことこ歩く田舎道」
(大分県・中学生・男子)
 
文部科学大臣賞
「向日葵の咲いたところにまた笑顔」
(鹿児島県・高校生・男子)
 
朗人賞
「もくれんのつぼみが空を見上げてる」
(大分県・小学生・男子)
 
紘文賞
「あきぞらへゆっくりのぼるかんらん車」
(富山県・小学生・女子)
 
 
2011年(平成23年)…14,805句
「第28回全国児童生徒俳句大会」
久留島賞
「どんぐりになまえをつけてたのしいな」
(大分県・小学生・女子)
 
文部科学大臣賞
「大空の色まで変えてしゃぼん玉」
(埼玉県・中学生・男子)
 
朗人賞
「流氷にシロップかけて食べたいな」
(千葉県・小学生・女子)
 
紘文賞
「金閣寺水面にうつる秋の空」
(大分県・中学生・女子)
 
 
2012年(平成24年)…16,281句
「第29回全国児童生徒俳句大会」
久留島賞
「未来へと 夢を繋いで 童話祭」
(大分県・高校生・女子)
 
文部科学大臣賞
「うれしそう 二つならんだ 雪うさぎ」
(大分県・小学生・男子)
 
朗人賞
「赤とんぼ この指とまれ 夢のせて」
(京都府・小学生・男子)
 
紘文賞
「初夢は 一富士二鷹 三絆」
(大分県・中学生・男子)
 
 
2013年(平成25年)…15,456句
「第30回全国児童生徒俳句大会」
久留島賞
「悴んだ 手に力こめ ピアノ弾く」
(鹿児島県・中学生・女子)
 
文部科学大臣賞
「あめのおと みのむしさんも きいている」
(富山県・小学生・女子)
 
朗人賞
「オリオン座 時を操る 砂時計」
(大分県・高校生・男子)
 
紘文賞
「大江山 しぐれの雲で かくれんぼ」
(京都府・小学生・男子)
 
10年以上も前の俳句大会の結果なので、近年の詠句傾向や受賞傾向は異なるかもしれませんが、私の知る限りでは、外連味なく、自然と写生を重んじながら、素直な感動を爽やかに詠む歌が評価につながっているように思いました。「日本童話祭」が大切に守り育てている「心」かも知れません。みなさんは、どう思われましたか?
 
なお、選者の倉田紘文(1940年~2014年)氏は、大分県出身の俳人であり、別府大学名誉教授(国文学)でした。1972年(昭和47年)、高野素十の勧めにより32歳で俳誌「蕗」を創刊・主宰しました。1998年(平成10年)よりNHK俳壇の主宰・選者、および、BS俳句王国の主宰をされた人物です。にこやかな笑顔で、静かにお話される先生でした。
 


※画像は、クリエイター・りのさんの、タイトル「あの日の "うりちゃん"」の1葉をかたじけなくしました。お礼申し上げます。