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食と栄養セミナー 食養生

こんにちは。
O-project「食と栄養セミナー」の講師を担当させていただいています、
管理栄養士の上原です。

今回のテーマは「食養生」

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➀食養生について伝える前に…大切にしたいこと。

栄養相談の対象者や、
講演の参加者皆さんに一番最初に伺うことがあります。

「どんな夢をかなえたいですか?」

「どんなジブンになりたいですか?」
「どんなジブンでありたいですか?(どんなジブンで居たいですか)」

この質問をなげかけ、
できるだけ用紙などに書いてもらうようにしています。
夢が1個でもいいですし、100個書いていただいても構いません。

何よりも大切にしたいのが、
対象者自身の「人生における大切にしたい夢」です。

対象者自身の人生の夢や人生の質QOLを知らずに
栄養相談をしてしまっては、
ただの手技手法の押し付けになってしまうことがあるからです。

対象者自身が自分の夢をわすれてしまって、
あたかも食事療法が夢であるような認識に陥ってしまうと、
手技手法にとらわれて苦しくなり

「いったい自分は何のために食事療法をしているのだろう」と

目的を見失ってしまい、挫折してしまい、
栄養相談や食事療法からリタイアしてしまいやすくなります。

5 W 1 H に当てはめると

対象者の夢は“Why = 何のために(目的)”です。
食事療法や栄養療法はあくまでも
“What(何を)”“How(どのように)”の手段でしかありません。

ピラミッドに当てはめるとこうなります。

ピラミッド

“Why”に当てはまる人生の目的
「どんな夢をかなえたいか」
「どんなジブンになりたいか」
「どんなジブンで在りたいか」
が何よりも大切です。

この人生の目的の達成のために、
「何をどうするか」の手技手法はたくさんあります。


人生の目的の状況によっては、
十人十色、百人百色の生活スタイルがあります。


それに合わせた“What”や“How”の食事療法や運動療法、
生活改善を行っていくことが、より良い健康増進への近道だと、
わたしは考えております。

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②沖縄県民の現状からわかるジブンの健康

わたしたちの住む沖縄の健康状況を知ることで、
自分自身における健康課題が見えてくる事が多々あります。

ここで沖縄の健康の現状を一緒に振り返ってみようとおもいます。

【食生活に問題がある人が増えている】

全体としての問題
・食の欧米化などによる栄養バランスの乱れ
・食事時間や食事回数の不規則化
・食物アレルギーの増加

各世代で考えると、

子どもの問題
・朝食を食べない
・ファストフードやお菓子ばかり
・偏った食事、好き嫌い など

働き世代の問題
・朝食を食べない
・不規則な食生活、夜遅い食事
・ドカ食い、早食い など

女性の問題
・過度なダイエット
・偏った食事 など

高齢者の問題
・食が細くなって食べられない
・虚弱 ・低栄養 ・重症化 など

これらの「食の問題」は
沖縄県内外の現代人における問題でもあるのですが、
特に沖縄は戦後から、
沖縄県外に比べ食の欧米化がはやく進んだ県でもあります。

弁当の中身が洋食が多かったり、
重量の多い弁当が安く買える状況があります。

【沖縄の弁当や菓子パンの現状】

沖縄でよく目にする弁当や菓子パンについて触れます。

最近では「キロ弁」を提供する弁当屋さんも多くなってきました。
1つの弁当の総重量が約1㎏になるお弁当。

揚げ物やご飯の重量が多く、
エネルギー換算すると1つのお弁当で
1600~2000kcalのエネルギー量になるものがほとんどです。

沖縄県内の方は、
日常的にこの大きなお弁当を見慣れてしまっているのですが、
1600kcalというと、
成人女性の1日分の必要エネルギー量に値します。

キロ弁や沖縄の弁当屋さんの総菜の中身のほとんどが
揚げ物で占めていることが多く、
野菜の量が少ないものがほとんどです。

沖縄県外のヒトが沖縄のスーパーなどで驚くのが、
菓子パンの大きさと、
陳列されている量の多さですね。

ビッグサイズのメロンパンや、
クリームパンを見かけることがあると思います。
これらの菓子パンの中には、
1つで700kcal以上のエネルギー量のものもあります。

このような大量生産され、
賞味期限の期間が長い菓子パンの多くは、
水素添加油脂(マーガリンやショートニングなど)が含まれていたり、
保存料や増粘剤などのような食品添加物が多く含まれています。

地域性や社会環境要因から、
大きいサイズの弁当や、菓子パンが、

「日常的にあたりまえのもの」

となりやすく、気が付かないうちに、
エネルギー過剰摂取や、糖質、脂質の過剰摂取、
野菜不足からのビタミン類や食物繊維不足に陥りやすい食習慣に
なってしまうことがあります。

【沖縄県の肥満の現状】

健康沖縄21の第2次報告によると、
沖縄県50歳代男性の2人に1人という結果が出ています。
(ここでの肥満とはBMI25以上。沖縄県50歳代男性54%、全国33%)

健康沖縄21のデータからみる沖縄県民の健康問題として
・働き盛りの死亡率が全国より高い
・全国一のメタボリック該当者・予備軍
・野菜摂取量が少ない
・むし歯や歯周病が多い
・COPD死亡率が全国一高い
などがあります。

【人口動態統計特殊報告より】


沖縄県における主要死因の年齢階級別死亡率の都道府県順位を見ると、
男性女性ともに
肝疾患、悪性新生物、自殺、脳血管疾患、急性心筋梗塞など、
35歳以上の各年齢階級で全国ワースト5位以上となる、
年代が多い状況です。

この統計からも、沖縄の現代の健康は、
ココロとカラダの両方の健康管理が必要と考えています。

③ヒトの心身が必要としていること


人生を生きていく上で、健康を保つことは大切です。

食以外にもヒトの心身を整えるために必要な事が5つあります。
・呼吸をする
・水を飲む
・食べる
・動く
・休む、眠る
どれが乱れても、健康が崩れる原因となってしまいます。


④ヒトが本来の食べる目的


ヒトが本来
「何のために食べる(栄養をとる)必要があるのか」を
振り返ってみましょう。

ヒトの本来の食べる目的には大きく分けて4つあります。
・心身の成長のため
・カラダを維持するため
・カラダの免疫力を高めるため
・種の存続のため

「食欲を満たすこと」が第一目的ではなく、
本来の食べる目的は、自然界のリズムの中で調和しながら、
よりよく「生きていく」ために食べているのです。

③④にあげた
「ヒトの心身が必要としていること」
「ヒトが本来の食べる目的」
を知るだけでも食や生活全般への意識が変わってくると思います。

⑤ココロとカラダを整える食養生


⑤-1【新鮮な空気をとりいれる】

深呼吸をして新鮮な空気を体の中にとりいれることも養生の1つです。

しっかり酸素を取り入れることで、脳も冷静に判断することができます。
深呼吸をすることで、しっかり肺をひろげ、肋骨を動かし、
胸郭を動かすことはとても大切です。

自分自身の呼吸を感じることで、
ヒトは冷静な判断ができるようにもなります。
深呼吸をして、体の中の気の流れを良くしていきましょう。

⑤-2【新鮮な水を飲みましょう】

ヒトのカラダの60~65%は水でできています。
体内での水の役割は、血液や細胞の構成成分として必要で、
栄養素を体の隅々に運んでくれる働きがあります。

不純物を取り除く働き、体温を一定に保つ働きをしています。
日常の水分の補給の際は、甘い飲み物や清涼飲料水を飲むのではなく、
できるだけ純粋な水をお勧めします。

夏の暑い環境下での作業時などの熱中症対策の時は、
純粋な水分より、体液に近いスポーツ飲料などが良い場合もあります。
日常の涼しい環境下で生活する場合の水分に関しては、
清涼飲料水ではなく、純粋な水や、お茶などをお勧めします。


体の中に
新鮮な空気が流れ

新鮮な水が流れ

気脈と水脈があるからこそ、
栄養が体の細胞のすみずみに行きわたります。

私たちの心身が必要としている食(栄養)を
とるイメージをすることが大切です。

⑤-3【私達の心身が必要としている栄養】

私たちの心身が必要としている栄養素を大きく分けると5つあります。

炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル。
これらを5大栄養素と言います。

どれか一つに偏りすぎたり、摂りすぎたり、少なすぎても、
心身のバランスが崩れてしまいます。

最近ではサプリメントでそれぞれ栄養補給することは可能ですが、
ぜひ、食を楽しみながら、五感を使って食べながら
摂取することをお勧めしています。

⑤-4【炭水化物】

主に主食となる、ご飯、パン、麺類、芋類に多く含まれる栄養素。
わたしたちの体の主要なエネルギー源になってくれます。
特に、脳の主なエネルギー源になります。

できるだけ、自然の食材(自然界の糖)から
とり入れることをお勧めします。

人工的に作られた甘味料の糖や甘いジュースは、
血糖値の急激な上昇を招いてしまうことがあります。

「しっかり噛んで摂取するもの」
「自然界の植物などに含まれる糖」
を摂取することをお勧めいたします。


⑤-5【たんぱく質】

主に、魚、肉、卵、大豆製品、乳製品などに
多く含まれるたんぱく質は、
わたしたちの体を作る材料となる欠かせないものです。

良質のたんぱく質は自律神経の働きを調整し、免疫機能を高めます。

ストレス耐性も強化でき、現代人にとっては欠かせない栄養素です。

さまざまなからだの材料にもなります。
・細胞を作り、維持し、補修
・カラダを成長させる
・免疫細胞の材料になる
・各種ホルモンの材料になる
・血、筋肉の材料になる
・髪の毛や爪、皮膚の材料になる

食材は単品に偏らず、さまざまな材料をまんべんなく摂取する事で、
カラダ全体がより効率よく作られれます。

⑤-6【脂質】

脂質は三大栄養素の1つでもあり、
生体内で立派なエネルギー源になります。

1 g あたり9 kcal の熱量を持っているので、効率の良いエネルギー源です。
食べ過ぎてエネルギー過剰となると肥満や
脂質異常症の原因となる事もあります。

脂質の役割としては、皮膚の健康維持にも関わっています。
脂肪酸は、わたしたちの細胞の細胞膜を構成する成分でもあります。

より良い細胞を作るためにも、
「質の良いあぶら」を選ぶ力をつけることも大切です。
植物性油脂や、魚などに含まれる脂質を摂取するように心がけましょう。
人工的に作られた水素添加油脂などは、控えるように心がけましょう。


⑤-7【ビタミン】

フレッシュな野菜や果物などのビタミンカラーの食材から
「ビタミン」を摂取しましょう。

ビタミンの働きとしては、
カラダの中の様々な化学反応のサポートをしてくれます。
カラダの調子を整え、代謝のサポートをし、
免疫力の向上にも関わっています。

特に、生の野菜、生の果物など、生の食材の中には、
「食物酵素」が多くふくまれており、
消化のサポートや代謝のサポートをしてくれます。

色鮮やかなビタミンカラーの食材には、
栄養素のビタミンが多く含まれています。
栄養素がわからなくても色とりどりの食材を取り入れることも
食養生の1つです。

⑤-8【ミネラル】

ミネラルは、骨や血の材料になり、
カラダの細胞の材料となる栄養素の一つ。

カラダの電解質のバランス(イオンバランス)を整え、
体内のありとあらゆる神経伝達にも関わっており、
ヒトにとっては欠かせない栄養素。

ひじき、昆布などの海藻類、牛乳、チーズなどの乳製品、
豚レバーなどの内臓類には、
それぞれ、さまざまなミネラルが含まれています。

特に現代人に不足しがちなのが、カルシウムと鉄分です。

カルシウムは、歯や骨の材料としての働きだけではなくて、
神経の興奮を抑えて、ストレスの刺激を緩和する働きがあります。

心の安定剤と呼ばれるほど、イライラを抑えてくれる栄養素の一つです。

カルシウムの多い食品
・牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品
・しらす干し、干しエビ、小魚など
・ひじき、わかめ、昆布などの海藻類
・島豆腐、高野豆腐など
・野菜の中でも、切干大根、小松菜、大根の葉っぱなど

鉄分は、現代人に不足しがちです。
血液を構成するヘモグロビンの材料で、
鉄が不足すると貧血になり、疲れやすくなったり、
だるさ、顔面蒼白、動悸、息切れ、肩こり、頭痛、
めまい、枝毛や抜け毛の増加など、
さまざまな身体症状が出てしまいます。

鉄分の多い食材には
・牛肉、豚肉などの赤身の肉
・豚レバー、鶏レバーなどの内臓類
・カツオ、イワシ、マグロなどの魚
・ほうれん草、小松菜、水前寺菜など
・ひじき、海苔
・ココア、小豆など


主食となる、ごはんやパンなどと、
副食のおかずとなる、魚、肉、大豆製品。

野菜類や海藻類などを摂取することで、
心身に必要な五大栄養素をまんべんなく摂取することが食養生の近道です。

⑤-9【よく噛もう】

食事の内容がなかなか変えることができないかたには、
「よく噛んで食べる」ことからおすすめします。

よく噛んで、しっかり唾液と食べ物を混ぜることで、
その後の消化を助けてくれます。

脳への働きかけもよく、
よく噛むことは心のバランスを保つためにも大切です。

⑤-10【朝食】

わたしは、管理栄養士として朝食を食べることをお勧めしています。
朝日を浴びて、朝食を摂取することで、
わたしたちの体の体内時計が整い、日中の代謝が上がりやすくなります。

夕食は早めに済ませ、夜から朝の間は胃腸を休め、
朝食をしっかり噛んで食事をとる事をお勧めします。

⑤-11【 1 日 3 食 】

1 日 3 食、できるだけ決まった時間に食べることをお勧めいたします。

前述と同じですが、体内時計のバランスとかかわっており、
血糖値の急上昇や急降下を防ぐためにも、
主な食事は1日3回に分けて摂取することをお勧めします。

⑤-12【発酵食品】

日本や沖縄の食文化にも欠かせないのが、発酵食品です。
発酵食品に含まれる、ビフィズス菌や乳酸菌を摂取することで、
腸内の善玉菌が増え、腸内環境の改善から、
代謝アップ、免疫力アップにつながり、生活習慣病の予防にもなります。

味噌、醸造酢、醸造醤油、塩麹、醤油麹、甘麹、
沖縄のミキ、キムチ、鰹節、納豆、ヨーグルト、チーズなど

できるだけ、保存料や添加物などの入っていない、
原材料がシンプルな発酵食品を選ぶことをお勧めします。

⑥睡眠

食も大切ですが、睡眠をしっかり確保することも、
大切な養生法のひとつです。

睡眠不足だと、ホルモンバランスがくずれ、
消化や吸収、体の合成がうまくいきません。

食養生をこころがけながら、
良質な睡眠がとれる環境づくりをすることをお勧めします。

⑦沖縄のおばぁから学ぶこころの健幸

90歳100歳でも元気に畑にでる沖縄のおばぁたちに
「健康の秘訣はなんですか?」と尋ねると

「よく食べて・よく働いて・よく笑うことさぁ~。ははははは~・」

とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

【笑うこと】は何よりも、健康長寿の秘訣なのかもしれません。

食や栄養の正しい知識をつけ、
健康でいれるための

「より良い食の選択ができるチカラ」
「より良い生活環境を整えることができるチカラ」

をつけていくことが食養生・養生の秘訣だと考えます。


さいごに

どうか皆さんの
「かなえたい夢」
「どんなわたしになりたいのか」
「どんなわたしでありたいのか」を
ぜひ大切にしてください♡

O-project

食養生のPDF資料

O-projectにて毎日行われています食と栄養セミナー

テーマ:食養生

の際に使用されました資料はこちらです。

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