私は何者か、番外編、a dozen短歌、12
珈琲を飲んで意識をまっさらに暮れゆく灰は青から出でし
目を閉じて何も思い出せそうにない木枯らし一番仔猫まるまる
ボタン押し待っているのにまだ来ない最上階の次の階まで
エレベータわたしと彼と子猫と風定員いっぱい摩天楼まで
鼻声ねそれがまたいいひととおり人の世界の慣わし踏んで
その靴で踏んだのか土の独り言いつまで我ら待たねばならぬ
チラ見して好きとか嫌いとか人の世の宿題さっさと済ませてしまう
深層の地下室へゆくその眼鏡外したならば死者にも会える
灰のなか白く燃ゆるはダイヤモンド意味のあること小さなことよ
退屈を絵本に書いて図書館の本棚にしまう明日は月曜
九時半を一分過ぎて海老天丼私の知らないわたしの胃袋
玉葱を植えてそれからビール飲むぽつりぽつりと会いにくる雨
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