見出し画像

【朗読】かの夜の音

※有料記事になっていますが、無料で全文読めます。利用も無料です。
※台本ご利用の前に必ず利用規約をお読み下さい。

【概要】

あらすじ

ある夜、夕食の会に招かれた。雨が降る中、決意とともにその家に向かう。

情報

朗読  一人もしくは二人
性別不問
上演時間 約3分

二人で読む場合は、細字と太字で分けるのがおすすめです。


【本文】


しとしと しとしと
ぽた ぽたた ぱた ぱたた
さ さ さ さ  さ さ さ さ

雨が降っている。
そう強いわけではないけれど、無視はできない雨粒だ。
傘の露先つゆさきからは雫がいくつも落ちてかばんを濡らす。
約束の時間には少し早い。けれどはやるきもちで足早に歩く。恵の雨だ。
今はしっとりと濡れている程度の地面も、帰る頃には水たまりでもできていることだろう。

ピンポーン
たたたた がちゃり

「ああ、いらっしゃい。早かったですね。あなたが一番の到着ですよ」
「どうぞあがって。傘はこっちに。準備がまだ整ってないんですよ。ひとまず、リビングでくつろいでいてください」

ばさばさ ことん
ぱたん

『このあと都市部では雨足が強まり、雷雨となるでしょう。雨は明け方まで降り続き……』

「せっかく来てもらったというのに、帰る時は今よりも天気が悪そうですね。場合によっては車を呼びましょう」
「それにしても、あなたが来てくれて本当に良かった。あの事があったから、私はてっきり嫌われて……いや、恨まれすらしているんじゃないかと思っていたんです。そうじゃないとわかって、ホッとしました」
「どうしました? いつまでも突っ立てないで……」


ピピピピ ピピピピ

「あ、すみません。そろそろオーブンの肉が焼けたみたいです。レインコートはその辺のハンガーにかけておいてください。お茶も淹れてきます」

ぱたぱたぱたぱた

とさっ ジジジ 
ぐっ
ひた ひた ひた ひた

「うわっ! びっくりした。そんな足音もたてずに

ずぶり

……うぐぅっ⁉︎」

どさり

「うぅ……あ あ あ。お前、や……ぱり……」

ざくっ ずぶっ ざくっ
からん
ばたばたばたばた
がちゃっ

ぱたん

極めて冷静に、静かに、扉を閉めた。

ざー ざー ざー ざー ゴロゴロ ゴロゴロ
ぽたぽた ぽたぽた
じゃ じゃ じゃ じゃ  じゃじゃじゃじゃ
ばしゃばしゃばしゃばしゃ ばしゃばしゃばしゃばしゃ

雨が降っている。
シャワーのような雨がレインコートをつたい、赤くなって水たまりに落ちる。
友人の家から帰宅するのに自然な歩みから、だんだんと大股になり、最後には、まるで傘を忘れて雨宿りの軒下までを急ぐように、駆けた。


【台本のPDF】

縦書きのPDFファイルを用意しております。
ご入用の方はこの先の有料記事をご購入ください。
メンバーシップの方はメンバー特典でご利用いただけます。
(ランチタイム以上)

※有料記事部分にはPDFファイルしかありません。
※PDFをご購入頂かなくても、無料で台本はご利用いただけます。
 お間違えのないようご注意ください。

PDFサンプル

A4用紙横向き3枚

ここから先は

0字 / 1ファイル
この記事のみ ¥ 300

サポートは、記事ごとにちゃりん✨とクリエイターを応援できる機能です。 記事や作品がお気に召しましたらちゃりん✨としていただけたら大変 励みになります🎁 活動資金として大切に使わせていただきます。