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大草原の小さな家をのぞき見した気分!おもしろ道具から見えてくるライフスタイル

トロントから車で45分ほどのところ、ミシサガという場所にあるミュージアム、ブラッドリーミュージアムに先日足を運びました。ミュージアムは豪邸が立ち並ぶ一角にあります。もともとミシサガに住んでいたことがありますが、名前さえ聞いたことがなかった、とっても小さなミュージアムです。ミュージアムと言っても、古い家を改装して使っているので、建物に1歩入ると誰かの家の中をぐるぐる見て回っているような感覚に襲われます。

そもそもなぜそんな小さなミュージアムに行ったのか?

ここで開催されていたWhat's for dinnerというイベントに行きたかったというのが理由です。ミシサガはトロント同様、オンタリオ州の中にあります。このイベントではオンタリオ州で季節ごとにどのような食材が手に入るのか、またその食材をどのように食べているのかなどが紹介されています。実際にレシピを持ち帰れるようになっていたり、中には訪れた方のおすすめレシピを書いて貼れるスペースもあったりしました。

で、早速もらってきたレシピで実践。

本来の目的よりもここが楽しかった

ミュージアムのある敷地内にはとっても古い家が2軒ほど建てられています。まあ実際には別の場所から、建物を保存するために運ばれてきたので、置いてあるという方が正しいかもしれませんが、、、2軒あるうちの一軒がブラッドリーハウス。名前通り、ブラッドリーさんという方が住んでたお家です。家の中は昔のままの状態で残されていますし、ミュージアムのスタッフが道具などの説明をしてくれるので、当時の生活を想像することができ、最高に楽しい場所でした。

大草原の小さな家という昔々のTV番組を知っていますか?玄関をあけるとまさにこのTV番組の中に出てきた世界が広がっている感じです。玄関を入るとすぐがキッチン、日本でいうところの土間みたいなスペースでした。実はこのお家には2つのキッチンがあって、玄関入ってすぐの土間のような場所が涼しいキッチン。シンクなど水回りの作業をしたり、野菜などの保管場所として使っていたようです。お隣の部屋があたたかいキッチン。大きな暖炉が置いてあり、そこで煮たり、焼いたりの作業をしていたみたいですね。薪をくべて使うなかなかの大きい暖炉だったので、使っている時はそれなりに温度あがるのでしょうね。冷蔵庫もない時代、野菜とかはすぐ傷みそうなので、キッチンが2つに分けられていたのも納得です。

これは一体何の道具?

家の中には見たこともない道具があちらこちらに置かれていて、スタッフの方が道具の説明をしてくれました。毎回「何だと思いますか?」と聞いてくれるのだけど、全く想像がつかなかった私。

例えばですが、この時代はもちろん電気がなかったので、キャンドルを使って生活をしていました。それもキャンドルをそこら辺のお店で買ってくるのではなく、自分たちの手でキャンドルを作っていたんですね。このキャンドルを作る道具がまず面白かった、細いパイプが何本も組み合わせたような道具。(ちなみに私は楽器?と答えました。キッチンなのにね、笑)棒つきアイスを家で作る時、型を使いますよね。それと煮ていて、細いパイプの真ん中に糸を垂らして、ワックスを注ぎ固める、こんな手順でキャンドルを作るそうです。

キッチンにはもう1つとっても驚いた道具がありました。キッチンにはストーブがあり、通常はその上にポットを置いてお湯沸かしたりするようなのですが、これの横に大きなシルバーの円盤形の道具がおいてありました。直径約1mくらいはあるでしょうか?真ん中部分が凹んでいて、ちょうど麦わら帽子を巨大にしたような形の道具です。これ、お風呂なんですって。しかも置かれていた場所はキッチン。ここで使うものらしいです。現代に生きる私には、キッチンでおふろ?と衝撃的でしたが、、、

でもちゃんと理由があります。お湯を沸かして、そのお湯で体を洗っていたから。あとはカナダなので冬はもちろん寒いし、ましてや当時の家ですから、断熱材がしっかりと入っていたとは考えにくいです。ストーブの脇でお風呂に入れば、それだけでもあたたかいですよね。なるほどキッチンでお風呂に入るって理にかなっていたんだなーと納得しました。

ブラッドリーハウスで見た道具たち、クイズ形式で動画にしています。動画内ではここで触れた道具以外にも紹介していますよ。

道具や置いてあるものの背景が面白い

あたたかい方のキッチンは意外と広くて、小さなテーブルらしきものが2つほど置かれていました。ダイニングルーム的な場所がなかったので、もしかするとこのテーブルで簡単に食事をしていたのかもしれません。テーブルの1つが窓際に置いてあり、その上に小さな小皿おいてありました。その小皿にのせられていたものがパーティーで使うとんがり帽子を小さくしたようなカバーが被せられたお砂糖の塊です。さっき窓際に置いてあったと言いました。これには大きなワケがあります。

当時のお砂糖は高価なものだったため、窓の外から見た際、これがテーブルに置いてあるということは「ここって裕福なお家なんだー」と思ってもらえるということです。そう、これはステイタスが高いことを周りの人に見せるために置かれていたようです。

そしてもう1つ、あたたかい方のキッチンの隣にある部屋。今でいうところのリビングっぽい部屋なのでしょうか?ただソファーなどは置いてなく、テーブルと椅子が置かれていたり、隅の方には書きものをするようなデスクがあったり、なんとなくリラックスしたい時にみんなで使う部屋なのかなと思いました。そのテーブルの上に置かれていたのがキャンドルホルダー。このキャンドルホルダーはクルクル回すとキャンドルがたくさん出てきたり、反対に回すとキャンドルが引っ込むような仕組みになっています。そう、キャンドルを伸び縮みさせることができるキャンドルホルダーです。

当時、家に若い女性がいて、この女性と話をするのに男性が訪ねてくる場合、キャンドルが灯されている間は話ができる決まりだったようです。このキャンドルが話す時間を教えてくれるタイマーみたいな役割だったということです。で、このキャンドルをセッティングするのは通常お母さんだったようで、もしやってくる男性を気に入っていたら、キャンドルを長く出しますし、イマイチだなと思えば、もっちろんキャンドルを短くセッティングするということになりますよね。今の時代に同じようなことやったら間違いなく家庭内で喧嘩が勃発しそうな話だなーと思いつつ聞きました。

音声配信内でもおもしろ道具の話、この時代の生活など話をしてます。

当時の生活って明かりをつけるのにもキャンドルを作る必要があったし、水も水道ひねったら出てこないので誰かが汲みに行く必要があったし、お風呂に入るのだってお湯を沸かしながら入っていたと考えると、それはそれは時間と労力がかかっていたのだと思います。でもなぜかここを訪れて、ふと生活の余裕みたいなものを感じてしまったんですよね。なぜだろう?

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