【3ワード物語】知らない、誤送信、イチゴ味
ここのところ、人間らしい生活を送れていない。ライオンとか、夜行性の、ライオンが夜行性かわからないけど、ライオンにあまり夜行性のイメージないか、コウモリとか、コウモリのような生活をしている。もう今日は早く寝よう。
ランダムな単語3つを用いた物語を考えます。
本日は、、、
『嘘とイチゴ』
どこからが浮気の始まりなのか。
身体か、心か。
結衣ははじめての恋人だ。
大学のバイト先で知り合い、向こうから告白された。
特に結衣に好意があったわけではなかったが、なんとなく付き合った。
就職先が近かったこともあり、卒業後、同棲を始めた。
入社2年目、取引先に社内だけの情報を誤送信してしまい、謝罪に向かった。そこで大学の同じ学部の先輩、田代さんと出会った。
「とんでもないミスしちゃったねぇ」
そこまで面識のなかった田代さんだが、親切に話しかけてくれた。落ち込む俺を慰めるため、飲みに連れて行ってくれた。久しぶりに結衣以外の女性と二人きりだったが、すごく盛り上がった。
家に帰り、なんとなく気おくれした俺は、きちんと話した。正直に話せば浮気じゃないだろうと思った。結衣は特に気にしていなかった。
それからも何度か田代さんとご飯に行くようになった。同じ業種で、勤務地も近いから、と自分に言い聞かせ、少しの罪悪感をもみ消した。
しかしなんとなく、心は気づいていた。
本物のイチゴを味わってしまった。
これまでの結衣との日々が、イチゴ味のように感じる。
まだ浮気の域には踏み込んでいないはず。
どうにかしないと、どうすればいいかわからないけど。
モヤモヤする日々を送っている中、ある日、家で夕飯を食べていると、結衣が話し出した。
「ね、この間話してた田代さん、そのあとも仕事で会ったりするの?最近どうしてるんだろうね」
鼓動が早まる。
結衣は探っている様子でもなかった。
いや、だがなぜ突然に。
「知らない」
俺はとっさに嘘をついた。
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