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2010年のクリスマスイヴに父から受け取ったバトン

こんばんは。初めまして。

岡部 美楠子と申します。
今日は2021年のクリスマスイヴです。
これからnoteに、私の人生と命をかけて取り組んでいく事業について書いていこうと思っています。
これからのことをお伝えするに際して、少し背景のストーリーを記しておこうと思います。


父・秀夫

私自身についてお話しする際、父のことをお話しなければ序章さえも始まらないと思っています。
父・秀夫は、大正15年=昭和元年(西暦1926年)の7月7日に、香川県高松市で三人兄弟の次男として誕生しました。幼少期~青年期は、世界恐慌・満州事変・日中戦争勃発・第二次世界大戦勃発と、世界が大きく変化する時代。第二次世界大戦終戦の年に成人ををむかえました。東京の大学に通いながら商工局に勤め、卒業後は東京通商産業局に入局。29歳で退職し、34歳で戦後の日本の社会生活環境を守るために、それまでの経験や人脈に助けられ、害虫駆除を生業とするシェル商事株式会社を創業しました。

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創業の地・東京都中央区銀座

アプローチ対象が斬新であったこと、社会的ニーズがあったことなどの要因で、銀座の片隅で机1つで始めた会社は、1人また1人と社員が増えていったそうです。創業後約20年強が経過し、4支店が開設し社員数が50名を超えたころ、50歳で結婚し、家族を持ちました。

その後も仕事人生を駆け抜け続けた身体は、知らぬうちに病魔に侵され、73歳にパーキンソン病が発覚。その後大腸癌が発覚し、長い闘病生活が続きました。

私がシェル商事に参画する意思表示をしたのは2008年・春のこと。事業承継の意向を聞いたとき、父は静かに泣きました。
様々な感情が複雑に交じり合ってこぼれた涙であったのだと思います。

私がシェル商事にくるまで

父の1人娘として生まれた私は、幼稚園から小学校に上がるころ、父の職業を理解しました。でも、その仕事を自分の言葉として表現できず、その感情を持て余すことも多くあったように思います。

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30周年式典にて 左・筆者 右・秀夫

「言葉にできない自分の持て余しているなにかを表現したい」という漠然とした感情から美術大学へ進学し、卒業後は、靴の製造卸販売の会社に就職。主にヨーロッパのメーカーで製造するブランドを担当し、靴のデザイン・買付け・通訳・検品などを担当していました。4年後、眼鏡の製造卸販売の会社に転職をしました。今思えば、シェルのことは気になりつつも、明らかに弱っていく父親を前に今さら何もできない不甲斐なさから、ある意味逃げていたのかもしれません。

2008年2月、「もしかしたら、これが最後の家族旅行になるかもしれないから」という母親の助言から、父の会社の海外社員旅行に参加させて頂いたときに見た風景が、父の会社に入ろうと決意したきっかけとなったのです。笑顔ではしゃぐ社員の人たち、その様子を眺めて嬉しそうにしている父の姿を見たとき、自分に何ができるのかはわからないけれど、父が人生をかけて守ってきたものたちを守らなければならない、と悟り、父の会社に来ることを決意したのでした。

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2008年グアム旅行

2008年6月 入社。 約2年現場作業に従事。
2010年3月 創業50周年記念式典。 父との共同作業で明文化した経営理念を発表。
2010年6月 代表取締役社長に就任。 父はその当時84歳で、代表取締役会長へ。
2010年12月24日のクリスマスイヴに 父は天国へ旅立ちました。

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50周年式典にて

父の想いをかたちにした経営理念が唯一の自分にとっての拠り所に、あっという間に数年が経過したとき、気づいたことがあったのです。

3つの気持ち

1つ目に気づいた封印していた感情は「命を奪いたいわけではない」という気持ち。これは気づかないうちに、当社に来た瞬間に自分で封印していたようでした。

2つ目に気づいた感情は「小さい頃、父の生業を自分の言葉で説明できなかったもどかしさ」で、これは幼少期まで記憶を遡って気づいた気持ちです。

3つ目に気づいたのは、「父の生業は社会次元で認められてきたが、現代社会、また未来の社会においては、もっと他の手段=殺生をしない手段のビジネスモデルを描くことができるはず。」という確信のような気持ちです。

そしてこれらの気持ちと向き合うことができたからこそ、今後シェル商事グループが進むべき方向性を見出すことができ、60周年の記念イベントにて全社員の皆さんに向けて、やっと自分の言葉で語ることができました。

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60周年式典でのプレゼンテーション(オンライン)


ここまでがプロローグのようなこれまでのお話し。
また書くこともあるかもしれませんが、一旦ここまで。

ここからは、自分自身の生業としての覚悟をベースにした、わたしたちが取り組んでいく事業構想のお話しをスタートしていきたいと思います。

それでは、よいクリスマスを!

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