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【啓蒙】害虫という虫の存在とは

2024年2月1日から、害蟲展season5の公募を開始しました。以前にも害蟲展について記しましたが、今回は5周年を迎える1つの区切りとして、個人的な背景を含めてお伝えしてみたいと思います。

害蟲展のはじまり

害虫駆除という生業の違和感から生まれたアート展

2008年に入社し、2010年に事業承継をし、管理部門・現業部門を学んでいる時代に見てきた景色や現場での経験、そして社員との会話の中でずっと胸に残っている言葉から生まれた問いがあります。
「私たちの仕事は、害虫と言われる生き物の命をとることなのだろうか?」
「害虫とは誰にとってなのだろうか?」
「彼らの存在理由は何なのか?」

色々な見分を広げるにつれて、「地球という惑星の限られた環境を、そこに暮らす全ての生き物がシェアをしなければ持続可能な環境維持はできない」という自分なりの方向性は見えてきたものの、それを自分ひとりで抱えていても、その実現に向けてのシフトチェンジには至らないと感じました。

自分以外の人に共感してもらうためには。
能動的な気づきのきっかけを創出することが1つの手段だと考え、『害蟲展』が生まれたのです。

なぜアート展なのか

家業に入ったとき、これまで私が学んできたことはあまり事業に活かすことができなく、もっと早くから経営などを学ぶべきであったかと悔やんだこともありました。けれども、家業の実務に携わっていく折々で、徐々にデザインやアートと遠い世界に来たからこそ、その力を強く感じることができる瞬間(ホームページやサービスパンフレットのリデザインなど)がいくつもあったのです。これらの経験から、クライアントのみではなく、パブリックに向けての「問い」の発信に、アートの力を活用したいという考えに至ったのでした。
その時、自分が無意識に選んできたと思っていた道(小さい頃の葛藤~表現の道を志したこと~予備校/浪人時代の経験~大学時代の留学経験~2社の社会人経験~社会人大学院)の意義が、1本に繋がったように感じたのを鮮明に覚えています。

アート展は、様々な方々に関与して頂き成り立っています。エントリー頂く作家の皆さん、審査員、スポンサーの方々、展示会のご来場者、運営事務局の方々、会場ご提供者、弊社スタッフ、、、これら全ての方々と「害虫とはなにか?」という問いを共有し、表現し、考えることで、言語領域を越えた共感・気づきを得ることができる場となり、それが継続の要になっていると感じています。

「蟲」という文字

問いを生み出す

私たちは普段見慣れているものには、疑問や違和感を持ちにくいですよね。
この見慣れない「蟲」という文字を目にすることで、
『何と読むのかな?』
『蟲と虫の違いってあるのかな?』
という問いから、生き物の大先輩の小さな生物の存在を再び知り、意識や興味が向くきっかけになるようにという願いを込めて、この字を使っています。
※蟲と虫の違いについては、調べてみて下さい。是非会場でお話ししましょう!

畏敬の念を表現したい

皆さんは『風の谷のナウシカ』という宮崎駿さんの作品をご存知でしょうか。私が初めて本作品を読んだのは、確か小学生の頃、大きな休みごとに参加していたキャンプでした。キャンプの途中で発熱し、一人休んでいた病人部屋にナウシカのコミックがあり、初めて手にとって読んだとき、熱を忘れるほどに惹き込まれた衝撃は忘れられません。この作品に、『王蟲』という生物が登場します。人知を超えた存在のこの王蟲は、実は現実世界で私たちの普段身の回りにいる虫たちでもあるのだと、感じています。
人類が誕生する何十億年も前から地球上で進化を繰り返してきた生物の先輩たちの生態系での役割に敬意を表すのと同時に、彼らの棲む環境を破壊し、地球環境のバランスをこれ以上崩すことの無いよう、この文字を掲げています。

筆者憧れの蟲と

小さなシフトチェンジの場として、これからも皆様と一緒にこの展示会をブラッシュアップしていくことができればと思っています。

【害蟲展season5 公募概要】

■募集期間: 2024年2月1日(木) ~ 2024年6月24日(月)
■審査員: 
・丸山 宗利(昆虫学者)
・舘野 鴻(生物画家)
・満田 晴穂(自在置物作家)
・中峰 空(箕面公園昆虫館 館長)
・服部 雄二(株式会社ベモーレ 代表)
・岡部 美楠子(8thCAL株式会社 代表)

詳しくは公式ホームページからhttps://sites.google.com/8thcal.design/exhibition/

人間以外の生き物たちの存在に気づき・知るきっかけを創出する害蟲展。
皆さまのエントリー・ご来場をお待ちしています。

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