夜勤明け朝7時 ガストにて。

ここ2週間くらいずっとお肉が食べたかった。焼肉じゃなくてステーキ。けどこの時間はモーニングセットしか置いてないようだ、ステーキはなかった。無念。ハンバーグモーニングセットを注文してみた。

ふと考えると最近は1人でいる時間が短いような気がする。生活の中に彼氏や友達がいて、毎日のようにバイトに行き誰かと話す。誰にも会わない1日があったのか思い出せないほど、あたしは常に人と一緒にいるんだな。

自分の目の前にハンバーグセットが置かれる。ウエイトレスの初老の女性は人が良さそうな優しい笑顔で、1人での来店に少し緊張していたあたしは何だかほっとしてしまう。いつも気が張り詰めていて、釣り眉で仕事をしているあたしとは正反対だ。

久しぶりのお肉。ハンバーグを一口サイズに小さく切り、ぱくり。あっつ。思った以上に熱くて味が分からん。二口目にやっとソースの味が分かって、何の変哲もないデミグラスソースだけど美味しい、なんだか今、幸せかもしれない。

この2週間、食べたものが思い出せないくらい、あたしの食事はバイトに行く前の腹ごなしにすぎなかった。お腹を満たせればそれでいいような、食事に幸せを求めていなかった。

スープもサラダも美味しかったし、ご飯は少なめでちょうどよかった。節約しなきゃいけない日々だけどこんな朝もたまにはいいな、648円であたしは幸せを買ったの。

バイト先のお客さんから向けられる気味の悪い好意や、無神経な対応や、横暴な言葉はあたしの中にたまり溜まって心をどんどん疲弊させていたのだと思う。

毎日同じ業務、あたしが1人で回すお店。どんなお客さんが来ても怖くない、問題を起こされたらあたしは対処できる、マニュアルどおりに話すだけでいい、お願い、話しかけないで。…毎日気を張っていた。

今日みたいに美味しい朝食とぼーっとした時間をとるのもいいかもしれない。お腹も心も満たされて、心という入れ物に溜まった泥のようなストレスが栓を抜いたかのように流れていく。

帰って寝よう、起きたらまたバイトだ。毎日同じ日々にちょっとの変化が心の栓を抜くと、その毎日は少しだけ違う日になる気がする。





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